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公務員試験制度の下では、起業家が出現するのは無理か?ー鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(3-15-46-3)

 公務員試験制度の下では、起業家が出現するのは無理か?ー鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(3-15-46-3)

第3編 直正公 政績発展
第4巻 砲台増築(嘉永3年=1850年~同4年=1851年)
第46 砲台増築

  ・ 公務員試験制度の下では、起業家が出現するのは無理か?

  現在、地方創生のアイデアが募集されていますが、担当者は苦労しています。石破大臣の政策では、「地方創生とは、農林水産業や再生可能エネルギー、観光資源など、地方にこそ存在している様々な資源の力を最大限に引き出すことにより、地方の雇用と所得を増大させ、日本の経済的自立を図ること、そして東京一極集中と地方の人口減少に歯止めをかけることであり、それは自立した日本国の創生を図るもの。」だそうです。

これまでの政策でこうなったのに、これから、どうするのでしょうか?全く、アイデア募集で、自らのアイデアはなしです。これでは!

 今から約150年前の佐賀藩では、藩の役人を採用するための制度として、課業法を設けた。
この課業法について、説明すれば、以下の通り。士もそんなに楽ではなかった。

・30石以上の家禄の者は、文学の一級免状(独看)と武芸の一級免状
・30石以下の家禄の者は、文学の二級免状(出精昇達)と武芸の二級免状(目録)
を取得しなければならない。これを済まさぬ者は、その家禄を相続渡り(生活保護程度の給付)となし、跡継ぎの嫡出子で奨励しても見込みなき者は、相続権を剥奪する「廃嫡」とする、と言うものだった。

 家中の士は、元服すると弘道館の寮に寄宿して、文武の修業をした。勉強の成績の良い者には、2食分の副食費6文を支給し、なお学力のあるものには、二級免状(出精昇達)を授与するとともに、食費の半分を支給した。
さらに進んで、独力で読書ができるようになれば、一級免状(独看)の免許を与え、食費全部を支給した。

ただし、例外として「一家を立つべき人物」はこの限りではなかった。
「一家を立つべき人物」とは、優れた天才をさす。
(久米は言う)封建時代の士は、俸禄を受けて家名を相続するもので、藩の用にたつように養成されるのは当然である。また、学問の自由ということなど夢想さえしない当時、課業法があるのは必然である。

この法制度は、天才は例外と言うが、結局、凡庸の人間を型どおりに教育することになったと言うことができる。その後の歴史から見ると、非凡の天才ある者は、必ずしも官が指定した学業について、勉強するものではない。彼らの多くは、制約を脱し、あるいは課目を怠り、独立自由の思想に傾き、修身の徳育に飽き足らず、さらに知識を求めて活動しようとした。弘学館の学長・鍋島安房は、これを大目に見て、彼らが修めるところに耳を傾けた。

この課業法は、その後、佐賀藩の官僚人事の基準として用いられ、現実には、相続渡りとなったり、廃嫡となる士の出現までには至らなかった。

(コメント:公務員試験制度は、公平な人事採用方法ですが、長い歴史からみれば、型にはまった人間を作り出した、ということでしょう。)

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