福岡の弁護士による借金 労働 家庭問題の相談    

日本人が外国人と結婚し、海外に居住している場合に、遺言はどうしたらいいでしょうか?

日本人が外国人と結婚し、海外に居住している場合に、遺言はどうしたらいいでしょうか?

これについては、民法984条に、公正証書又は秘密証書遺言については、公証人の代わりに領事が行う、とされています。
しかしながら、いろいろ問題があり、実例も多く無いのではないかと思われます。

1,まず、公証人と違って、領事では、公正証書についての知識が充分あるかどうか疑問です。遺言の内容についてもできることとできないことが民法で色々定められています。領事にとっても、困惑するでしょう。
2,次に、証人ふたりが必要です。外国人でも有効と考えられていますが、遺言の内容を理解するためには、日本語を理解する必要があり、そういう証人を2人揃えるのも大変です。相続人や受遺者やそれらの配偶者は、証人になれません。海外では、邦人もそれほど多くはなく、遺言の内容を知られても良いという邦人を見つけ出すのも大変でしょう。
3,遺言事項として、遺産の不動産の特定も明確にしなくてはならず、手元に資料がなければ、遺産の内容を特定できません。
そのような理由で、海外で公正証書遺言と同じ領事遺言ができるとしても、オススメできる方法ではないでしょう。

結局、日本で、公正証書遺言をするのが安全でしょう。
ただ、その際、海外の資産を含めると問題が生じます。日本の公正証書遺言の効力が、資産がある海外で通用するかどうかが問題です。その海外の法律で、日本の公正証書遺言が通用するとしても、その国の相続法の体系が日本と異なる場合は簡単ではありません。その国に銀行に預金をしていて、日本の公正証書遺言で、預金を引き出せるかどうか分かりません。銀行にとっては、翻訳された公正証書遺言が、その国の相続法と違っていれば、現実的には難しいのではないでしょうか。
国際私法の教科書には、いろいろ解説してありますが、遺産がある国の法律に従って、公正証書遺言をするのが安全でしょう。

ブログ主が、ミャンマーで病気になり、病院に診察を受けに行ったことがありました。保険で処理してもらおうと、東京海上日動火災の海外旅行保険の保険証書を出しました。ところが、その保険証書が日本語の漢字で印刷してあったのです。病院の受付は、「保険証書を出してくれ」と言うのです。目の前の書類が証書だと言っても、分からないのです。英語でないと分からないのです。本当に弱りました。少額の治療費でさえ、このようですから、遺産を承継するのは、予期しない障害があるのではないでしょうか。
余命が分かっていたら、換金してしまうのも一つの方法です。

以上は、一般論で、具体的事例については、弁護士に相談してください。(2015.1.22)

関連記事
相続

事務所