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面会交流に役立たなかった(間接強制が認められなかった)審判と調停例。

面会交流に役立たなかった(間接強制が認められなかった)審判と調停例。

父と子の面会交流を認めた役立つ審判例と役立たない審判例・調停例」及び「面会交流に役立った審判例」の紹介の続きです。

最高裁判所の「面会交流に関する審判や調停は、間接強制することができる」との判示は、すでにこのブログで述べたとおりです。

ここでは、間接強制が認められなかった曖昧な審判事項や調停事項を紹介しましょう。
1,不特定とされた審判事項(高知家裁)
(1) 省略
(2) 母親に対し,父親と長男(10歳)及び二男(6歳)が,1箇月に2回,土曜日又は日曜日に,1回につき6時間面会交流をすることを許さなければならない」

判示

「面会交流の頻度や各回の面会交流時間の長さは定められているといえるものの,長男及び二男の引渡しの方法については何ら定められてはいない。そうすると,本件審判においては,母親がすべき給付が十分に特定されているとはいえない」

2,不特定とされた福島家裁郡山支部の調停事項
ア  母親は,父親に対し,長男(8歳)と,2箇月に1回程度,原則として第3土曜 日の翌日に,半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)面接をすることを認める。ただし,最初は1時間程度から始めることとし,長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。
イ  母親は,前項に定める面接の開始時にa県b市のc通りの喫茶店の前で長男を父親に会わせ,父親は終了時間に同場所において長男を母親に引き渡すことを当面の原則とする。ただし,面接交渉の具体的な日時,場所,方法等は,子の福祉に慎重に配慮して,父親と母親間で協議して定める。

判示

「これを本件についてみると,調停条項アについて、頻度や長さについて、必ずしも特定していないのであって,本件調停条項イにおいて,「面接交渉の具体的な日時,場所,方法等は,子の福祉に慎重に配慮して,父親と母親間で協議して定める。」としていることにも照らすと,本件調停調書は,父親と長男との面会交流の大枠を定め,その具体的な内容は,父親と母親との協議で定めることを予定しているものといえる。そうすると,本件調停調書においては,母親がすべき給付が十分に特定されているとはいえない」

3, コメント
面会交流で審判になるということは、面会交流について監護親との合意ができなかったわけだから、監護親の協力はあまり期待できないことは予想でき、審判事項は、特定していなければならないでしょう。裁判官は、どのように考えていたのでしょうか。
調停が成立したという事は、一応の合意に至ったわけでしょう。しかし、本件にあるように、「ただし、協議して定める」というような調停条項は、母親が協議に応じなかったりすれば、何も定めていないことと同じこととなります。無力です。

4、追加事例
その後も、面会交流について具体的に定めず、概括的に「未成年者らとの面会交流を許さなければならない。」との審判をした新潟家裁高田支部の審判が出ました。その理由は、面会交流が1年以上にわたり実施されていないこと、離婚訴訟が継続中で相手方の協力が期待されない状況であること、家庭裁判所は試験的な面会交流を提案したが、非監護親がそれを拒否したので、概括的に認めることにした、というものです。

これを受けた東京高等裁判所は、両親間の信頼関係がないからこそ、家庭裁判所は面会交流の頻度、日時、場所、態様等について具体的に決定する必要がある、と判断して差し戻しました(平成25年9月26日決定) 。

新潟家裁高田支部の裁判官は、抽象的に面会交流を許さなければならないとの審判で、円滑に面会交流が実施されると思っていたのでしょうか。あまりにも常識にかけ離れた判断です。こういう裁判官が、少なからずいるということを肝に銘じなければなりません。

うがった見方をすれば、家庭裁判所が、試験的に面会交流の実施を提案したのに、面会交流を求めた親が従わなかったために、その制裁としてというか、裁判所の言うこと聞かないと不利になるぞ、との権威的思考で、「あとは勝手にしろ。」との考えから、現実的に実現不可能な審判を出したとも考えられます。

このタイプの裁判官も、少なからずいます。自分は優秀であると思い込み、プライドが非常に高く、当事者が言うこと聞かなければ、仕返しとして、言うことを聞かない当事者に不利な判断を出すのです。このような事は判決文には一切出ませんが、少なからずあります。こういう裁判官には当たったら、運が悪いと諦めるしかありません。それが現実です。裁判官も人間です。ただ、司法試験に通ったというだけで、決して人格者ではありません。