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面会交流に非協力的な監護者から他方親に監護権を変更した東京高等裁判所決定H15.1.20

面会交流に非協力的な監護者から他方親に監護権を変更した東京高等裁判所決定H15.1.20
面会交流

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面会交流に非協力的な監護者から他方親に監護権を変更した東京高等裁判所決定H15.1.20の紹介

事案の概要
夫婦が不和となり、夫が従業員の女性と不貞をしたことから、妻は単身で家を出て別居した。その際、親権者欄を空白にした協議離婚届出に署名押印をして、家を出た。夫は、自分を親権者として協議離婚届出をした。
そこで、妻は、自らを親権者とすることを求め、離婚無効の裁判を起こした。
その間、面会交流の交渉がなされたが、相互に自らが引き取るということで話がつかず、母親から、父親に対し、子どもの引き渡しを求めた。一旦、面会交流の合意をしたが、父親は非協力的で、ことさら、面会日の日曜日に子供達をヨット教室に通わせるようになった。
家庭裁判所は、監護者を母親に変更する審判をした。

高等裁判所決定
「現在,事件本人拓海(仮名)は中学校2年生,事件本人樹(仮名)は小学校5年生,事件本人文香(仮名)は同小学校3年生であり,事件本人らは,父親,その実父及び継母と同居している。父親は,別居後,事件本人らの生活を優先して仕事の時間を調整し,また,同居している実父及び継母の協力も得て,事件本人らの養育に当たっている。事件本人らは,3人とも概して健康状態は良好であり,現在は日常生活,学校生活とも特に問題はなく,父親の下で一応安定した生活を送っている。
父親は,不貞相手との関係を解消した。
母親は,経済的には,事件本人ら3人と生活していくことができる状態である。事件本人らを引き取った場合には,勤務時間中は実父母に事件本人らの面倒を見てもらうことを考えている。
また,母親は,事件本人らを引き取った場合には,事件本人らと父親との面接交渉については柔軟に考えており,面接交渉を拒むつもりはなく,事件本人らの転校を避けるため,○○町内の学校や父親宅からそれほど離れていないところに住居を定めるつもりであることから,事件本人らが下校途中などに父親宅に立ち寄ることも許容しようと考えている。
以上を前提とすると,戸籍の上では,父親と母親の協議離婚が成立しており,父親が事件本人らの親権者とされており,母親は非親権者であるが,協議離婚の成立自体に疑義がある上,少なくとも事件本人らの親権者の指定については,協議離婚届提出前に両者の間で協議が調うに至っていたとは認め難く,事件本人らの親権については,未だ父親と母親が共同してこれを行使する状態にあるものと見る余地が十分あるというべきである。

 そこで,父親と母親のいずれが事件本人らを監護するのが事件本人らの福祉に合致するかについて検討する。
(1) 双方とも事件本人らに対する愛情,監護に対する意欲は十分であり,その監護態勢は,住環境の面では父親の住居が優るといえるものの,監護養育能力や経済的な面ともに大差はなく,また,事件本人らは,現在,父親の下で一応安定した生活を送っていることが認められる。
そこで,父親は,事件本人らの現在の監護養育状況に特に問題がない以上,事件本人らの福祉のためには,監護の継続性を尊重し,現状を維持すべきである旨主張する。

(2) しかしながら,出生時から別居するに至るまで事件本人らを主として監護養育してきたのは専業主婦であった母親であり,別居後2年余りが経過していることを考慮しても,事件本人らと母親との精神的結びつきや母親への思慕の念はなお強いものがあり,事件本人樹及び同文香は,母親の下で生活したい旨の意向を明確に示している。事件本人拓海は,態度を明確にしていないものの,必ずしも現状に満足しているわけではないし,母親を慕う気持に変わりはないと推測される。
これに対し,父親は,事件本人らは母親との生活を少なくとも現時点では希望していないと主張し,父親と生活することを希望する旨記載した事件本人らの母親宛ての手紙を提出する。
しかし,事件本人らとしては,両親が激しく対立する中で父親から母親の下で生活することを希望するかと尋ねられれば,父親に対する配慮もあって,自分の本心を素直に表現することは事実上困難であり,事件本人らの上記手紙は,その文面からも,事件本人らの真意を表したものとは直ちに認め難いといわざるを得ない。したがって,父親の主張は採用することができない(父親が事件本人らに対して母親の下へ引っ越したいかどうかを尋ね,上記手紙を書かせたのは,事件本人らを自ら養育したいと強く望む余り,事件本人らの心情への配慮を欠くものであり,子の福祉の観点からも決して望ましいことではない。)。

(3) 本件記録によれば,事件本人らは,父親が母親に対して暴力を振るったことを目撃し,恐かったことを記憶しており,事件本人樹及び同文香は,父親に対する違和感を払拭できないでいることが認められる。
そして,父親が別居後まもなく不貞従業員を同居させたことについて,父親は,事件本人らの母親代わりの女性が必要であると考えたことによるものであり,短期間で解消したから問題はない旨主張するが,上記経緯に照らし,事件本人らの心情に対する配慮に欠けているというほかない。

(4) 子は,父母双方と交流することにより人格的に成長していくのであるから,子にとっては,婚姻関係が破綻して父母が別居した後も,父母双方との交流を維持することができる監護環境が望ましいことは明らかである。
しかし,父親は,1で認定した原審審判期日に合意した母親と事件本人らとの月1回の面接交渉の実施に対して非協力的な態度をとっている。これについて父親は,事件本人らの都合ないし希望によるものである旨主張するが,事件本人らが父親に気兼ねして本心を表明することができない心情に対する配慮に欠けるものである。
そして,本件記録によれば,父親が合意に反して面接交渉の実施に非協力的な態度をとり続けるため,合意に基づいて面接交渉の実施を求める母親との間で日程の調整をめぐって頻繁に紛争が生じ,そのため父親と母親の対立が更に悪化するという事態に陥っており,父親のこのような態度が早期に改善される見込みは少ないことが認められる。

このような父母の状況が事件本人らの情緒の安定に影響を及ぼし,父親と母親の対立に巻き込まれ,両者の板挟みになって両親に対する忠誠心の葛藤から情緒的安定を失い,その円満な人格形成及び心身の健全な発達に悪影響を及ぼすことが懸念される(事件本人拓海が,面接交渉をめぐる父親と母親の対立に巻き込まれて,精神的なストレスが高まったことから,じんましんと嘔吐の症状が出たことは,その表れと見られる。)。
これに加えて,事件本人拓海は中学2年生,事件本人樹は小学校5年生,事件本人文香は小学校3年生であり,いずれも人格形成にとって重要な時期にあることを考慮する必要がある。
そうすると,父親との面接交渉について柔軟に対応する意向を示している母親に監護させ,父親に面接交渉させることにより,事件本人らの精神的負担を軽減し,父母双方との交流ができる監護環境を整え,もって事件本人らの情緒の安定,心身の健全な発達を図ることが望ましいというべきである。
父親は,父親が母親と事件本人らとの面接交渉に支障を生じさせたことは一切なく,したがって,現在の生活環境の下で事件本人らへの心理的な悪影響はなく,むしろ元気に生活している旨主張するが,採用することができない。

(5) 以上によれば,事件本人らを母親に監護させることが事件本人らの福祉に合致するものというべきである。
父親は,事件本人らを母親に引き渡すとなると,転校を強いられることになり,事件本人らの生活の中心である学校環境を変えることによって,事件本人らの生活に重大な影響が生じると主張するが,母親は,事件本人らの転校を回避するために○○町内に新たな住居を定めるつもりでおり,本件記録によれば,そのための準備を進めていることが窺われるから,父親の主張は採用することができない。

コメント
この事例のように、面会交流日に、子供に塾に行かせるとか、他方親が面会を強行しにくい、言い換えれば、「子供のための都合」を監護親自身が設定したのでないかのように装って設定することは、かなりありそうです。もはや、子のためでなく、相手方に対する嫌がらせです。

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