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面会拒否、1回30万円の命令(東京高裁)、面会交流させない元妻・再婚相手に賠償命令(熊本地裁) 

面会拒否、1回30万円の命令(東京高裁)、面会交流させない元妻・再婚相手に賠償命令(熊本地裁) 

1,東京高裁で、H29.2.8, 面会拒否で、1回30万円支払うよう命じる決定。H28.10.4、東京家裁決定では、100万円の支払命令であったのを高すぎるとして減額。
なお、100万円の決定が出た後は、監護親は、面会に応ずるようになっていた。

東京家裁は、平成27年12月、別居している母親と子供との月1回5時間の面会交流を認めたが、子と同居している父親は応じなかった。
父親は「面会すれば母親が長女を連れ去る危険性がある」などと主張。
同家裁は、父親の収入が高額であることなどを考慮し、父親が、母親に長女を会わせる約束を守らない場合は1回あたり100万円を母親に支払うよう命じる決定

2,(コメント:

間接強制の支払額の多くが、養育費との兼ね合いで、金額が多ければ、結局、非監護親が養育費を支払わない結果となりおかしいとの考えからか、数万円から10万円程度の決定が多いようです。 父親の弁護士は、「常識外れだ」と主張しているそうです。

 

この金額は、裁判所の決定を守らせるためのものです。したがって、養育費の金額とは、何ら関係はありません。
この金額は、刑事事件の保釈保証金(刑事訴訟法第93条)と同じ意味合いを持っています。すなわち、約束の履行です。そこでは、「保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力ならびに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でならなければならない。」と規定しています。
これを面会交流に当てはめれば、「間接強制の金額は、子供の年齢、これまでの経過、監護親の性格及び資産などを考慮して、面会交流の履行を保証するに足りる相当な金額でなければならない。」ということになります。

資産がある監護親にとっては、数万円なんて痛くもかゆくもありません。履行を確保、約束を守らせるには、守らないと苦痛になる程度の金額でなければなりません。

最近の芸能人の覚醒剤事件でも、保釈金は500万円、ライブドア事件の時は5億円です。これを、型にはまったように相場があるとして、200万円とか決定したら、逃亡した方がましと言うことになります。資産家にとって、数百万円なんてどうってことはありません。資産を投資・運用すればすぐつくれます。

間接強制の場合も、履行を確実に守らせるため、監護親が、約束を守らないと損だ、と苦痛を感じるくらいの金額でなければ、間接強制の決定を出した意味がありません。
子供を監護している親の弁護士は、非常識な高額だと主張しているようです。しかし、この金額は、慰謝料などと違って、この金額の支払いを命ずるものでありません。裁判所の決定を守っていれば、1円たりとも支払う必要ありません。

そもそも、法治国家の日本で、裁判所の決定に従うのは、当たり前で、当然のことです。命令を受けた当事者が、裁判所の命令に従わないことを前提に、金額が高すぎるというのは、命令に従う意思がないことが見え隠れしています。
アメリカの州では、裁判所の決定に従わない場合は、法定侮辱罪として罰金・拘留を求めることができます。

これまで、面会交流での間接強制の決定があっても、金額が低い場合は、監護親を決定に従わせる何の力もありませんでした。以前、ある裁判官が、判例雑誌に面会交流の記事を書いていました。確か大阪のことだったと思いますが、面会交流の決定が出ても、一回も会わせず子供が成人となり逃げ切った「強者」いて、困ったものだ、と言うようなことを書いていました。

 

これまで、面会交流が実現されず、結果として親子の情の面において関係が断絶しても、それは監護親が悪いのだから仕方がない、ということで、面会交流の決定は絵に描いた餅になっていた事例もありました。
この東京家裁の決定は、裁判所の命令を「絵に描いた餅」にしない結果をもたらすでしょう。

 

3,子供への面会拒否に対して、元妻とその再婚相手にも賠償命令 熊本地裁

熊本地裁は、平成28年12月27日、
父親は、長男と面会交流できるよう熊本家裁に調停を申し立て、再婚相手を連絡調整役として面会交流することで合意。
しかし、元妻や再婚相手から連絡が滞り、日程を調整できないまま平成24年5月~平成27年10月の約3年5カ月間、男性は長男と面会できなかった。
父親は、離婚後に別居した長男(12)と会えないのは元妻とその再婚相手が拒んでいるためとして、2人を相手取って慰謝料300万円の損害賠償を求めた。
元妻は、自身の体調不良や再婚相手と長男との父子関係の確立のために面会できなかったと主張した。
裁判所は「被告の主張は面会日程を調整する協議を拒否することを正当化するものではない。長男が7歳から10歳に成長する大切な時期に交流できなかった原告の精神的苦痛は相当大きい」と指摘。元妻は日程を協議する義務を怠り、再婚相手も連絡義務に違反したとして、再婚相手に元妻と連帯して30万円を支払うよう命じた。元妻には70万円の支払いを命じた。(毎日新聞2017年1月23日 、要約)

(コメント:

いくら賠償金をもらっても、断絶した親子関係は、再生できません。子供にとって、小学時代の人格形成時代は一回しかありません。非監護親との楽しかった思い出は、何もありません。思い出すのは、監護親との思い出だけで、非監護親とは疎遠な冷たい思い出だけでしょう。子供の非監護親への感情は、否定的に染まってしまい、これを真っ白に戻すことはできません。小学時代の暖かい親子の思い出は、二度と作れないのです。)