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ミャンマーに直接投資(進出)する場合の不動産規制

ミャンマーに直接投資(進出)する場合の不動産規制

ミャンマーに直接投資(進出)する場合の不動産規制

ホテルAlamanndaにて

ホテルAlamanndaにて

   海外に進出する場合、その国の不動産を取得するか、あるいは賃借して事業を行うことになります。ただ、そうは言っても、進出先の法律によって、日本とは異なる規制がされています。ミャンマーの場合は、次のような規制です。
進出する形態によって規制が違ってきますので、まず進出形態を簡単にピックアップしましょう。

1,進出形態として
・基本的には、現地で株式(有限)会社設立する。
ミャンマー会社法の特色を参照
・合弁事業を設立する。
・外国人投資法に基づく優遇措置を利用して進出する。
・経済特区法に基づく優遇措置を利用して進出する。
方法があります。
・そのほか、駐在員事務所(営業活動はできない)や支店(銀行・保険など)があります。
・なお、ミャンマーでの外国会社の定義は、外国人が1株でも持っていれば、外国会社となります。

2,ミャンマーの不動産法制
・ミャンマーでは、土地はすべて国家の所有です(憲法37条、元の宗主国イギリスでも、土地は女王陛下の所有です。)。個人や企業に土地の所有権は認められていません。
ただし、土地利用権が、所有権に近い概念として通用しているようです。国による土地収用の際に、その種類によって、違いが出てくるようです。

・なお、ミャンマーでは、不動産とは、土地、建物その他土地に付着したものから生ずる利益を言います(但、立木、果実は除く)。それ以外が動産となります。
・原則として土地の所有者と建物所有者は同一に帰します。
しかし、民主化以降の不動産開発では、かならずしもそうでない場合も出てき  ています。例えば、下記のコンドミニアム法などです。

3,しかし、外国人に対しては、次の強行な不動産規制があります。
・不動産譲渡制限法(The Transfer of Immoveable Property Restriction Act ,1987)
・外国人・外国会社は、不動産を譲受け等により取得してはならない(4)
その違反は3年以上5年以下の禁固。没収。
・外国人・外国会社は、不動産を1年以上賃借してはならない(5)。
その違反は、賃料の3倍の罰金と没収。
なかには、ミャンマー人の名義を借りて、不動産利用権を取得しようとする人がいて、トラブルが発生しています。

4,ミャンマーにも、登記法(The Registration Acts 1908)があります。
・贈与、譲渡、賃貸者契約や判決などの権利変動に関する文書そのものが登記の対象となっています。
問題は、国民が不動産課税を嫌い、登記しないまま、転々譲渡されていることです。従って、登記名義人と現実の利用権者が一致しない場合も多くあります。

5,進出企業は、結局、不動産を賃借することになりますが、次のような規制があります。

ア、原則として、外国人や外国会社に対して、賃貸借期間は、 1年間(不動産譲渡制限法5条)。
賃料は、 1年分前払い。
ティンセイン政権以降からこれまで、不動産価格の高騰で、家賃が1年後に2倍以上になることもありました。進出企業にとっては、駐在員の駐在コストを考えれば、利益は上がっているのでしょうか。
ただし現在(2016年9月)は、供給過剰気味で、これからはわかりません。ホテルの稼働率も50%位で、政府は新規ホテルの建設を承認しないと決定しました。
・借地借家法のようなものはありません。

イ  例外の優遇措置として
・外国投資法による会社を設立した場合
50年間ー延長して70年間可能(外国投資法31条, 32条)。転借・譲渡担保も可(17条)。

 ・経済特区法で会社を設立した場合は
規模によって、期間が異なり、大規模の場合、30年+30年+15年延長可。小規模の場合30年+5年+5年の延長可。
最近、ティラワ経済特区ができました。ワンストップで、会社設立許可等ができます。
ここであれば安心・便利でしょう。しかし、それなりのコストはしますし、製造業の工場の場合、労働者の賃金が、周りの賃金レベルに影響されて高くなるでしょう。自社だけで賃金を決定することは、現実には困難が伴います。

6,不動産担保
・外国人や外国会社は、不動産担保設定したり、担保権者となることは、認められません。不動産を取得できないのですから当然です。
・なお、MIC(ミャンマー投資委員会)の承認を得た場合には、投資の承認を得た土地及び建物について、その賃借した使用権に関し、抵当権の設定手続きを行うことができる(投資規則64条)とされていますが、現実にはどうでしょうか。そもそも、ミャンマー現地で不動産に担保を設定して融資を受けようとする資金力のない企業はお断りと言うことで、難しいのではないでしょうか。

7,集合住宅法(CONDOMINIUM法)が2016年1月成立しました。
この法律で規定される集合住宅の対象は以下の通りです。
1. 面積2万平方フィートあること。
2. 建物は6階以上であること。
3. 建物の40%は外国人に販売すること。
4. 敷地は各部屋部分の区分所有となっていること。
5. 各部屋に割当てられる駐車場があること。
6. 建設規格に合致していること
不動産業界は、現在、不況なようで、そこにてこ入れするためにできたようです。
外国からの投資を呼んで外貨を稼ごうと言う狙いです。

現在、ヤンゴンは渋滞がひどく下手すると移動で1日終わってしまうこともあるようですし、米の産出量は多く本来日本よりも裕福で、餓死と言うことはほとんどないため、勤労意欲もあまりなく、目先の利益しか考えず、「信用・信義」が大切ということは聞いたこともなく、高等教育を受けた人材も少なく、民主化以降は拝金主義が多くなり、治安は悪化し続けていること(日本のマスコミが「軍事政権ミャンマー」とミャンマーで取材せずに声高に叫んでいたときは、治安は本当に良かったです。)を考えれば、今後、急激な成長を当て込んだ不動産投資が増大するでしょうか。

 

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ホテルAlamanndaにて

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