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ミャンマー会社法のprivate company と public companyについてのコメント

ミャンマー会社法のprivate company と public companyについてのコメント

 

 

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ミャンマー会社法のprivate company と public companyについてのコメント

1、 ミャンマー会社法では、Company limited by shares 株式有限会社の種類は二つです。

・Private company 私会社。
日本の有限会社に近いです。 非公開会社や閉鎖会社と翻訳してあるものが多いです。
Private companyとは、イギリス会社法に定められているもので、田中英夫教授の英米法辞典にも「Private company 私会社」と訳されてます。 Private companyの意味を理解するには、私会社の訳語が適切と思われます。ただ、その意味からすれば、「私募会社」といった方がより正確です。

・Public company 公開会社
日本の株式会社に近いです。日本会社法第2条5号の「公開会社」(株式譲渡に付き、定款で株式会社の承認を要すると定めてない会社)とは、意味が違います。公開と言うより、公募会社といった方が正確です。
(ミャンマー通訳の話では、現在ミャンマーでは、 Public companyの新たな設立は認められていないということでした。2014.3現在)

2,イギリスにおけるPrivate companyの沿革

イギリスでは、営利を目的とする組合は、組合員が20人以上になった場合、会社とならなければなりませんでした(ミャンマー会社法4条2項も同じ)。 また、組合では、各組合員の責任は無限で、組合員の死亡が解散原因となってました(日本民法679条1号では脱退原因)。
しかも、公開会社となれば、会社の財政状態を公示する義務があり、設立も7人以上の社員を必要としました(会社法5条)。
そこで、個人経営者が、たとえば妻を社員に選び、 2人でPrivate companyを設立して法人格と有限責任との利益を享受する方法がとられました(法人成り)。

Private companyの制限としては、会社法2項13号に規定があります。
すなわち
・社員の数は50人以下(旧日本有限会社法21条も同じ)
・株式および社債の公募は禁止
・株式の譲渡制限 (旧日本有限会社法59条は、第三者に対する持ち分譲渡の制限規定)
等があります。1907年のイギリス会社法と同じです。
参考判例として、Salomon v Salomon & Co.,Ltd.,1897が有名です。
これは、サロモンが、自分と家族で設立したサロモン会社に、サロモンが営業していた靴営業を3万ポンドで売却したが、その代金の未払いが1万ポンド残っていた。そこで、サロモンは、これを会社財産を担保とした社債の形で貸付けた。その後、ソロモン会社は支払ができなくなり、ソロモンはその担保権を実行した。それに対して、一般債権者が、「何人も、自分で自分に対する債権を取得しうるはずがないから、ソロモンの担保付社債は一般債権に優先できない」と主張した。
しかし上院(House of Lords) は、サロモンとサロモン会社とは別個の人格であるから、サロモンは担保付社債に基づき支払を受ける権利がある、と判決しました。

3, Private company とPublic companyの相違は、次の通りです。
・Private companyは、基本定款に2人の社員の署名があればよい(会社法5条)。 他方、Public companyは7人以上が必要です。
・1人会社も可。ただし制限あります。
・Private companyの取締役は1人でよいが、 Public companyは3人以上(会社 法83A条)が必要です。
・Private companyは、memorandom of association (基本定款、絶対的記載 事項)とarticles of association (付随定款、相対的記載事項)を届け出れば、設立証明書の交付を受けることができます。
Public companyは目論見書(Prospectus)などの届け出を要します。
以上のように、 Private companyは、Public companyに比べて設立費用が 安くて済みます。

そのほか
・創立総会の開催について、 Private companyはその必要はありませんが(会社法77条11項)、 Public companyは必要があります。
・取締役は、 Private companyは社員総会の単純な決議によって選任することができます(会社法83条B)。 1人で可。取締役に金銭の貸付をすることができます(会社法86条D)。
・監査役の資格制限がありません(会社法144条1項)。
・Private companyの業務執行は、ごく少数の取締役又は1人の取締役によります。 取締役になるのは、現実には社員で、個人企業を私会社組織で経営しているということができます。会社の所有と経営の分離がありません。

なお、会社が営業を開始するには、営業許可証(permission to trade)が必要(会社法27条A )です 。イギリス会社法に由来します。

4,なお、memorandom of association (基本定款、絶対的記載事項)とarticles of association (付随定款、相対的記載事項)は、雛形があります。基本定款の雛形がThe Second Schedule に、付属定款の雛形がThe Third Scheduleに規定され、変更なければその雛形が適用されます(会社法18条)

(2014.10.14)

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