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「相続させる」との遺言の法律的・経済的意味合いについて

「相続させる」との遺言の法律的・経済的意味合いについて

1,まず、法律的意味合いについて
遺言では、遺産を相続人に相続させる場合、「相続させる」という文言がよく使われます。
かっては、この文言について、遺贈かそれとも遺産分割方法の指定かと、いろいろな解釈されていました。しかし、平成3年4月19日、最高裁判所は、「相続させるとの遺言を、遺贈の趣旨ではなく、単独で相続させる趣旨で、遺産分割の方法を定めたものであり、その結果、遺産分割の手続きを経ることなく、直ちに承継される」と結論を下しました。
したがって、不動産の場合、本来は、登記権利者と登記義務者が共同で申請しなければなりませんが、この場合、相続人は単独で登記手続きを行うことができます。

 なお、遺言書に「相続させる」と記載された相続人が、遺言者よりも早く死んだ場合は、その遺言は、効力を生じません。
また、ある財産を相続させる、との遺言があった場合、その財産は、特別受益となります。

2,次に、経済的意味合いについて
遺言者が、遺言する場合、遺産の中にはいろんなものがあります。
まず、遺言者が親から相続した財産が残っていれば、その承継した財産を自分の子供にも承継させたいとの思いから、相続させることが通常でしょう。
また、遺言者に、病気の子供がいれば、なるべく多くの遺産をその子供のために承継させるのが普通でしょう。

 しかし、子供が結婚し独立している場合、あまりに多くの財産を残せば、その遺産に依存してしまって、必ずしもいい結果は生じないこともあります。遺言者が、ひたすら節約して金をため、使うことなく亡くなることもあります。こういう場合は、アラビアンナイトに出てくる話に似てます。アラビアのある商人が、蓄えた金をツボに入れて自分の庭に埋めて隠し、それを見ては楽しみ使うことなく死んでしまう、という話です。こういうのも、働き蜂みたいで淋しい。

 「相続させる」というのは、金を自分で使うことなく、「相続人に使ってもらう」ということです。
残すのと使うとのバランスも必要です。余命数ヶ月と医者から宣告されて、遺言書を作成する場合、今更、金を使おうと思っても手遅れです。世界一周旅行しようと思っても、体力が許しません。おいしいものを食べようと思っても、のどを通らず、あるいは幾ばくもない余命を縮めるだけで、食べることはできません。金を使おうにも使えないのです。また、遺産が多ければ多いほど、国も相続税が多く徴収できて喜びます。
そのへんのことも考えて、バランスよく生活するのが大事ですが、これが難しい。将来の自分の健康・命・運命は、神のみぞ知るところです。

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