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「起業支援セミナー」の効用はどうでしょうか? 福岡「アミカス」の報告書を読む。

「起業支援セミナー」の効用は、どうでしょうか?

福岡市は、現在(2015.5)、天神で「スタートアップカフェ」と言う起業を応援する相談場所を設けています。起業に関するイベントや相談が行われています。どれだけ役に立つのか、その参考になるアンケート結果がありました。
それは、福岡市男女共同参画推進センター(アミカス)が1994年(平成6年)から2011年(平成23年)まで行っていた「女性の起業支援センター」の修了者に対して行ったアンケート結果が報告されています。
修了者557人のうち、住所が分かった397人に対し、 2012年(平成24年)にアンケート調査を行い、 109人から回答を得ています。回答率は約2~3割です。

セミナー受講者の年齢は、 40代は36% 、 30代は23% 、 50代は28% 、 20代は4%です。
コメント:若者の起業というイメージで、 20代が多いと思ってましたが、社会経験がある30代から50代が多いようです。

セミナー受講後の起業割合は、起業していないが41% 、セミナー受講後から起業したが37% 、受講前から起業しているが17%となっており、主催者は、起業率は59%と評価しています。
コメント:アンケートの結果はそのとおりです。しかし、実際の起業率はもっと低いと思われます。回答していない7割の人は、おそらく起業していないか、起業しても廃業した人が多いのでないかと思われます。アンケートの自由回答欄には「アンケートの趣旨は、起業してもどうせ辞めてるだろう、との意図が見え隠れしていて不愉快」との回答もあり、実際の起業率は差し引く必要があります。特に2000年から2002年の回答者はいずれも一人で、かつ起業した人であり、その年の起業率は100%となっています。これを加えて平均すれば、起業率は非常に高くなります。

起業の業種
サービス業は34% 、小売業は20% 、飲食業は10%の割合です。サービス業は、税理士、カラーコーディネート、香りでのブランディング空間演出、清掃サービスなど種々にわたっています。小売業も化粧品の販売、女性専門靴店などいろいろです。

経営形態
起業時は、個人事業が約70% 、有限会社が13% 、株式会社が約10%で、従業員数は1人が40% 、自分1人が約20%と言うことで、小規模に始めている方が多いです。
その後、 1割ほど株式会社が増加しています。従業員数もやはり 1人が多く約36% 、増員している人が約 35%います。

起業時の資金繰り
すべて自己資金が約6割、自己資本と借入金が約3~4割で、小規模の起業が多いようです。

開業から現在に至る企業規模
同規模は約5割、拡大しているが約3割となっています。

開業後に困ったこと
営業が約3割。人材不足が約3割弱、財務などの専門知識不足が約3割となっています。
コメント:岩田屋やベスト電器を見れば、営業の困難さが分かります。財務は、税理士等に相談すればいいのでしょうが、費用が問題なのでしょうか。

支援セミナーの自由回答・評価
肯定的評価:良い勉強でした。セミナーに参加して起業すべきかどうか、はっきりしました。セミナーで知り合った方と貴重な友人となりました。
否定的評価:自分のPR目的で参加され、参加者を利用するという考え方をすることは好意的と思えません。選挙や物を売りたい人が実家までこられたり、手紙をくださったりでうんざりしました。

コメント:趣味を生かすために起業するというのは、困難が伴いそうです。趣味以外の営業とか経理をやらなくてはなりません。これは趣味に生きる人にとって、かなりの負担です。起業しようという人を営業の対象にしている人たちもやはりいます。無料で貴重な情報を教えるということはありません。

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