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イメージと違うミャンマー(3) 安くて勤勉な労働力?

イメージと違うミャンマー(3) 安くて勤勉な労働力?
ミャンマー

ミャンマー

イメージと違うミャンマー(3) 安くて勤勉な労働力?

1,賃金は安いのか?
ジェトロの「アジア新興国のビジネス環境比較2013年」によれば、日系企業の平均賃金は、アジア各国の中でミャンマーが1番安いです。しかし、賃金平均ベースアップ率を見ると、ベトナム、インドネシア、パキスタンに次いで4番目です。ストライキも行われており、インフレや物価上昇もあって、引き続き賃金はアップしていくでしょう。賃金の安さに惹かれて進出すれば、数年のうちにコスト高になるかもしれません。

(2016.10.13)
(ミャンマージャポン報道)ティラワSEZの開発工事では、
熟練建設労働者またはリーダークラスの場合は日額17,000ks、
一般労働者の場合は13,000ksで募集し、住居も会社側が用意する。
建設労働者の賃金日額相場が、熟練労働者:12,000ks、一般労働者:6,000ksであるのに対し、好待遇となっている。募集時期は12月頃の予定との報道あり。

2,勤勉なのか?
ミャンマーに行けば、すぐわかります。女性は、よく働き向上心も強いです。それに比べ、男性は昼間から喫茶店でベラベラ喋っています。母系性社会で、妻が夫を食べさしていくいう社会です。そのかわり、女性の嫉妬心は、相当強く、夫が妻の妹を見つめることも許さない、と言われています。誇張もあると思いますが、その嫉妬心の強さは、現地女性と結婚した日本人男性からも言われています。
では、男性は全く怠惰かというと、来日したミャンマー人男性は、ものすごく勤勉といいます。ミャンマーでは、男性の働き口も多くなく、働かなくても米は豊富だし、生きていくことができるから、働かないでいるのかもしれません。

もう一つ、ミャンマー人にとって、植民地支配をしていたイギリス人が、理想のマネージャーと映っていることです。
それは、冷房の効いたオフィスで部下(インド人やミャンマーの少数民族)に指示するのが本来の仕事であり、現場に出て汗水たらして指示するのは、部下の仕事で、軽蔑されることだ、ということです。社長が、土方をやっても、尊敬されないということです。そうなると、現場でトラブル発生した場合、解決能力ない現場では、まったくらちがあかず、仕事が停滞してしまいます。このような労働観を持っているミャンマー人幹部を使って仕事をするのは、 並大抵ではありません。

もう一つが官僚主義です。
ミャンマーでは、就職先が少ないため、政府や市町村での公務員が多いのです。そこでしか雇用の場がないのです。民間企業で、雇用を生み出す事は少ないのです。その結果、 毎日役所に通勤するものの仕事は大してなく、おしゃべりして1日が過ぎていくのです。省力化・効率化という観念はあまりないのでしょう。そんなことをすれば、雇用の場を奪うからです。
こういう人と合弁で一緒に仕事をしていくのは大変です。これまでおしゃべりをして1日を過ごしていて勤労意欲が乏しいからです。

3,能力はあるのか?
識字率は高いと言われています。しかし、 1988年、学生の暴動があり、軍事政権は、大学を封鎖しました。そのため、医学部、外語学部、水産・船員関係の学部など以外の法学部などは、開講されないままでした。そのため、人材が不足しています。エンジニアや管理職といった高度人材や経験豊富な人材が少ないようです。これは、ミャンマー以外のカンボジアラオス、バングラデシュでも同様のようです。ジェトロの前記調査では、日系企業で、従業員の質や、人材の能力が問題だ、と答えた国はミャンマーはトップです。そうなると近隣諸国に拠点を持っている企業は、そこから管理職を派遣させるか、そうでない企業は日本からの駐在員を派遣することになります。

   もう一つ、英語力の問題があります。確かに、ミャンマーは、元イギリスの植民地で、英語を話す人が多いです。また、大学の教科書も、他の東南アジア諸国の大学と同じように、日本と違って、英語の教科書を利用しています。そのため、英語力は、一般的には日本よりも高いでしょう。しかし、専門的な用語になると、先ほどの大学封鎖もあって、必ずしも英語が通用しない、という話も聞きます。ミャンマー人にとって、ミャンマー語が日本語と同じ文法であるため、英語習得は日本人と同じように大変なようです。
ミャンマー人で、日本語が分かる人と話してた時、英語は苦手だ、と言っていました。

 もう一つ、カースト制みたいなものが残っているようです。人によって、担当する職種が決まっているのです。
だから、メイドは掃除のようなメイドの仕事しかやらず、料理人は料理の仕事しかやらず、警備員は警備員の仕事しかしない。 1人でいくつもの仕事を兼ねるようなことをしない。メイドに料理を作ってくれと言っても、「それは私の仕事ではない」という返事が返ってくるようです。これが、工場経営になると大変です。ジェネラリスト・ゼネラルマネージャーのような人材が多くないと言うことになります。

4,実際にミャンマーに進出して奮闘した経営者小島正憲氏の著作が参考になります。
1997年出版の「アジアで勝つ」
2000年出版の「多国籍中小企業奮戦記」
2007年出版の「中国ありのまま仕事事情」
があります。
実際のミャンマー・中国に海外進出して騙されたりした体験談や乗り切ったことなどが書かれています。信頼していたミャンマー人から、多額の仲介料を請求され、要求を呑まないと内部事情を公にすると言われたりしています。有益です。ただ、本には書けないような事は、もちろん書いてありません。それを差し引いても、現実に海外進出した人でなければわからないことが、生き生きと記されて役に立ちます。

5、本人駐在員の環境はどうか?
ミャンマーでの日本人駐在員の環境はどうでしょうか?

以上は、ブログ主の主観によるものです。現地で自分の目で確認してください。ジェトロやセミナー参加より、何よりもこれが絶対役立ちます。

 

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