人事・採用基準(人物鑑定)、役人(能吏)の実態ー再建の殿様・鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(2-10-31-2)
第2編 公の初政治
第10巻 天保の飢饉、将軍の代替わり
第31章 長崎警備
1,人事・採用の基準(人物鑑定)
1,風体 2,口上、3,引き、4,高、5,人物
これは、元は人を鑑識するときの基準であった。
1,風体とは、昔の武士は、しぐさ・態度の練習をしていた。まず、人と接するには、容貌・身のこなしが厳正でなければ侮辱されるので、日頃からこれに注意して練習していた。ただ、泰平の時代の後は、形のみに重きを置き、いわゆる「気取」ったものを偉いと言うようになってしまった。
2,口上、とは、人に対する応答で、藩祖が最も修練したものである。毛利元就の3男・小早川隆景も、重大な使者を派遣する際は、まず、佐賀にやって藩祖から口上の伝授を受けさせたほどである。これも、後には形式のみとなり、語気重くして口数の少ないのを偉い、というようになり果てた。(以前、東映の俳優で片岡知恵蔵がいましたが、知恵蔵のボソボソいう言い回しのようなようなものでしょうか? このDNAが残っているためか、アメリカ人が、初対面で相手の素性も分からないのに、ことさら親しげに、「Hi, ・・・・・」といわれても、返答がすぐにできません。語学以前の礼儀・交際に関する価値観が違うのです。)