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外交手腕とは相手の歓心を買うこと?ー鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(3-15-46)

外交手腕とは相手の歓心を買うこと?ー鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(3-15-46)

第3編 直正公 政績発展
第4巻 砲台増築(嘉永3年=1850年~同4年=1851年)
第46 砲台増築

・佐賀藩の外交手腕家・田中武兵衛の外交手腕とは?

  田中武兵衛は、砲台増築は、幕府閣僚の筒井紀伊守等と結んで成し遂げる必要があると認めた。
そこで、直正公から筒井へ、国産の陶器を添えて直筆を送った。田中武兵衛も、筒井や竹村へ、土産として、西洋酒と支那産の青梅漬け、竜眼肉等を持参した。筒井は、かって長崎奉行として勤務したこともあり、これらの珍味を好んでいたので、「久しぶりに珍味を賞味することができた。」と厚く礼を述べた。

 よって、田中は、これを池田半九郎に通知し、以後も、折々にこのような品を贈るつもりなので、「オランダ人の持ってきた菓子類、もしくは唐うちわ、西洋酒、陶器、ガラス類、からすみ、中国筆等を長崎へ請求して、当地に保管すべし。品は不揃いでも、少なくても良い、と申し渡した。

(久米は言う)ここに、田中の外交手腕を見るべし、と。
なお、田中は、以前、筑前との協議でうまくいかず譴責浪人となっていたが、直正公は、その外交手腕を認めて、再度幕府との交渉担当に抜擢した。

(コメント:現在でも、担当政府官僚の好みを探り、現金供与ではなく、賄賂にならないよう、歓心を買うよう努めることが、県担当者の勤めでもあります。大変です。これができなければなりませんが、地方公務員を希望する人は、このような営業が苦手の人が多く、田中武兵衛のような人材は少ないでしょう。)

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