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協同組合が破産したら、組合員やその家族は連帯保証に注意を要する。相続放棄の検討。

協同組合が破産したら、組合員やその家族は連帯保証に注意を要する。相続放棄の検討。

平成27年2月26日、福岡高裁で次のような判決がありました。

事案の概要ーーー
昭和50年8月22日、佐賀県が唐津蒲鉾協同組合に対し、 1億8182万円貸し付けた。組合員であるAは連帯保証した。

昭和63年6月21日、Aは死亡した。Aは、かまぼこ店を経営していた。店の土地建物はAの所有であった。Aの相続人として、妻と子供3人がいた。妻が店舗を相続してかまぼこ店を承継することになっていた。

平成25年4月18日、同協同組合は破産申立てをして、 同月22日破産手続開始決定が出た。

 平成26年5月13日、佐賀県から、貸付金残金、元金約5,077万円の状況説明会の通知を受け取った。

平成26年7月23日、子供3人は、家庭裁判所に相続放棄の申述をした。

平成26年10月17日、佐賀家庭裁判所唐津支部は、申立てを却下した。

平成27年2月16日、福岡高等裁判所は、原審判を取り消して相続放棄の申述を受理した。

これに関しては、昭和59年4月27日の最高裁判決があります。
要旨は、
「相続人が、相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知ったときから3ヶ月以内に相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との交際状態その他諸般の状況からみて、当該相続人に対し、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において、そのように信じるについて相当な理由があると認められるときには、熟慮期間は、相続人が、相続財産の全部又は1部の存在を認識した時、または通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である」

家庭裁判所は、この最高裁判決に基づいて、子供らは、父親が死んだときに、店舗すなわち主な相続財産の存在を認識していたことが明らかであるし、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があったとも認められないとして却下しました。

 ところが、福岡高裁は、最高裁判旨に続いて「また、相続人が、相続財産の1部の存在を知っていた場合でも、自己が取得すべき相続財産がなく、通常人がその存在を知っていれば当然相続放棄をしたであろう相続債務が存在しないと信じており、かつ、そのように信じたことについて相当の理由があると認められる場合には、上記最高裁判例の趣旨が妥当すると言うべきである」として、熟慮期間は、相続債務の存在を認識した時、または通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である。」としました。

そして、本件では、子供たちは、父親Aに係る何らかの相続債務があるとは認識しておらず、また何らかの相続債務があると認識することは困難であったとしました。そして、熟慮期間の起算点は、佐賀県から通知を受け取った日の翌日からであるとして、相続放棄の申述を受理すべきとしました。

コメント:父親が、事業を営んでいて、同時にその事業の協同組合の組合員であった場合には、協同組合の借金について連帯保証をしていることはしばしばあることです。

ところが、子供たちは、父親が協同組合の連帯保証していることまでは知らないことが多く、本件のようなケースは日本全国あるのではないでしょうか。特に、以前から続いている家業で衰退気味の事業については、特にそうです。

経営者である父親が死んだときには、協同組合の連帯保証をしていないのかチェックする必要があります。払えそうもない巨額の連帯保証額であれば、相続放棄をしなければなりません。本件では、福岡高等裁判所は相続人を救済してくれていますが、原審家庭裁判所は却下していますので、注意を要します。慎重な対応が必要です。

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