家主は、外国人との理由で借家契約を断れるか?
外国人が日本に入国する場合には、すでに入居先が決まってる場合がほとんどでしょう。しかし、その後、引っ越す場合もあるかもしれません。その場合に、連帯保証人とかいろいろ条件があって、入居するのはなかなか難しいでしょう。
裁判上は、外国人が部屋を借りようとする場合に、外国人であることを理由に入居を断るというのは、不合理な差別で違法であるとされています。
例えば、インド国籍を有する者が、賃貸住宅を探す目的で宅建業者へ電話したところ、業者の従業員が「肌の色は普通の色か」「普通の色とは日本人の肌のような色」といった発言をした事件で、裁判所は「肌の色を問いただしたことは原告の人格的利益を棄損するものである」として、50万円の損害賠償等の支払いを命じた事件が報告されています(平成15年7月16日、東京高等裁判所)。
また、京都地方裁判所は、平成19年10月2日、「賃貸マンションの所有者が、入居予定者が日本国籍を有していなかった事を理由として賃貸借契約の締結を拒否したことにつき、入居予定者に対する不法行為責任を認めた事案で、損害賠償110万円の支払いを命じています。
事案は、原告が勤務しその姉が代表者を務める会社が、被告に対して本件物件の賃借を申し込み、同会社は敷金、礼金、翌月分の賃料、共益費、管理費、インターネット利用料金、火災保険料や仲介手数料を支払っていたのに、入居予定日の前日、本件賃貸借契約を締結する段階に至って、同会社に対して十分な説明を行うことなく、一方的に本件賃貸借契約の締結を拒み、しかも本件賃貸借契約の締結を拒むについてなんら合理的理由がなかったのでした。
それで、被告は、同会社に対して、本件賃貸借契約の成立についての強い信頼を与えた。また、本件賃貸借契約の成立が合理的に期待される段階まで準備が進んでいた。それなのに合理的な理由がなく、本件賃貸借契約の締結を一方的に拒んだ。それで、被告は、信義則上、同会社が被った損害を賠償する責任を負う。
さらに、本件賃貸借契約は、原告を入居者として予定していたのであり、その原告が日本国籍でないことを理由に、被告が本件物件を賃貸しないこととした。そこで、被告は、原告に対し、不法行為に基づき、原告の損害を賠償する責任を負う旨、判決しました。
その他、同種の判決が出ています。(2014.11.14)
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