攘夷論は、大阪商人が蔭で資金援助をして仕掛けていたー激動の幕末・明治を生きた日本人群像・鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(4-20-60)
第4編 開国の初期
第20巻 陸海軍とオランダ・アメリカとの条約改正
第60章 オランダ・アメリカ領事の貿易勧告(安政3年 1856年 43才)
・攘夷論は、大阪商人が蔭で資金援助をして仕掛けていた
1, 3月30日、パリ条約締結、クリミヤ戦争終結。オランダ商館長から、長崎奉行に、次のような勧告あり。
・クリミヤ戦争が終結し、イギリス・フランス両国は、東洋貿易の拡大を図ってくる。オランダは、これまで日本との貿易を独占していたからと言って、それを妨げるつもりは全くない。
・時勢のながれで、貿易を開くべきである。それを拒めば、日本は世界の強国を相手に戦争をすることになる。
・オランダも、出島商館での貿易でなく、自由貿易の条約を付け加えたい。日本が、ロシアと函館・下田での貿易の条約を結ばれたのであれば、蘭・米・英国も同様の申し立てをしたい。
・日本は輸出する物がないと言うが、心配はご無用である。日本で使わなくても、中継貿易もある。例えば、日本には、コーヒーがないが、オランダ商人がコーヒーを持ってくれば、ロシア商人が喜んでこれを買い、日本政府は関税を取り立てることができる。
・また、外国政府は、自国民にキリスト教を修めることを希望するが、日本人がキリスト教を修めることを希望することはないと考えている。
・ただ、長崎あたりで行われている「踏み絵」は、外国人には迷惑に聞こえるため、以後は勘弁してもらいたい。
・オランダ人の妻子を連れてくることを許されたし。