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格上女房の力で昇進し、またまたマイホームの建設資金を融通して貰うのは恥か?ー鍋島直正公伝を読む(2-8-24)

格上女房の力で昇進し、またまたマイホームの建設資金を融通して貰うのは恥か?ー鍋島直正公伝を読む(2-8-24)

格上女房の力で昇進し、またまたマイホームの建設資金を融通して貰うのは、恥か?ー再建の殿様・鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(2-8-24)

第2編 公の初政治
第8巻 二の丸 焼失
第24章 少将昇任
・格上女房の力で昇進し、またまたマイホームの建設資金を融通して貰うのは、恥か?

1、将軍家から佐賀藩に嫁いできた盛姫は、二の丸建設費用の工面について、直正公が、幕府に拝借をお願いされたら、盛姫自身からも斡旋・心添えするので、ぜひ幕府にお願いされたら、と夫直正公に口ぞえした。
直正公は、「幕府に向かって謝金を請うのも一国の主として耐えがたい。城が焼けてこれを再建する資力がないというのは、天災があって緊急の蓄えがないということで、この上なき恥を天下に暴露するなり』として、方便として謝金を願いでるのも、融資してもらうよう運動するのは体面を失う所以で、なすべきではない、と断った。

「拝借金」というのは、現在の「借金」とは意味がことなり、理解しにくい言葉である。江戸時代、貸借と贈与との区別が乏しく、貸すとは、与える意味で、返済期に至れば、全部もしくは幾分を捨て、その残りを年賦・月賦等で返済し、残額はなし崩しにして返済無用にすることが多かった。

公金の拝借は、大抵これを常とし、普通の利息をつけて債務を弁済するのは、ほとんど商売のことに限られたようである。この風潮は、なお国民の頭の底にあり、渡した財産が貸したのか、与えたのかいい加減なのは、今なお存在するところである。
なお、時代が下り、直正公が大砲を長崎に設置する際にも、拝借金を利用して設置した。

 直正公としては、盛姫の斡旋があり、やむなく幕府に拝借金の願書を出したが、これにこだわるつもりはなく、決して取り入るようであってはならず、見込みがないなら願い下げるべし、と言われた。
結局、盛姫の心添えもあり、2万両の拝借金を貰った。

2,盛姫は、さらに、直正公を説得して、少将昇任の願い出をすれば、自ら斡旋すると言って、勧誘した。しかし、直正公は、それは本意でない、と断られたが、盛姫は、なおも大奥との間で運動をしていた。そして、大奥の思し召しもあって、直正公から幕府へ、是非ともお願いしなくてはなりません、という事態になった。

直正公は、斎直公(父)が侍従の位で隠居となって、時期としてはよいとはいえ、二の丸普請、藩政の取り締まり、窮民の扶助等もあり、昇進は本意でなく、昇進そのものが何かと自分の我が儘に聞こえ、昇進の願いは見合わせるよう断った。
官位は、贈賄によって定まる由来であった。例えば、斎直公(父)が侍従で終わったのは、佐賀藩が貧乏で、これを支払うことができなかった証拠である。

直正公は、このように運動もしなかったので、少将昇任はないと思っていたが、案に相違して、昇任となった。このため、隠居していた斎直公(父)は、直正公に藩政の裁決を委ねられることとなった。
他藩では、新旧意見が衝突し、主従の間でも意見の隔たりを生ずるところが多いと聞いているが、佐賀藩の場合、比較的円満に権力移譲がなされた。

(コメント:直正公は、将軍家から嫁いできた妻盛姫のおかげで、幕府から城建築の費用を融通してもらい、少将へ昇任しましたが、本意ではなく、うれしくなかったようです。

現在も、夫が高学歴でも、社会的・経済的に妻の実家の格が上だと、こういうこともあります。夫としては、内心うれしくないでしょう。他方、妻としては、自分のおかげで、夫が昇進し、マイホームが建設できたのだ、という気持ちがあります。すると、ついついそれが態度にでて、離婚原因となってしまいます。
妻の親が建設資金を出した1所帯2家族というのは、夫が婿養子のつもりで結婚すればよいですが、そうでないと離婚原因となりかねません。 これも、今も江戸時代も、変わりません。)

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