倒産関係相談    山田法律事務所 

海外進出撤退原因にはどんなものがあるか。

海外進出撤退原因にはどんなものがあるか。

   海外進出する際は、周到な準備をして実行に移すのがよいでしょう。中には、遅れまいと急いで進出し失敗するケースも多いと言われています。各種資料等で、基礎データを頭に入れ、それから現地に行って事情聴取すべきでしょう。
必ず、進出前に撤退の問題点と手続きをあらかじめ検討して置くべきです。 例えば、合弁の場合は、合弁契約書に円滑な撤退の条件を記載しておきます。赤字が○年継続した場合とか、それが累積して資本金の○分の1に達した場合とか、あるいは設立後○年を経過した時点で解散するとか。
それと、撤退せざるを得なくなったときは、決断を先送りしないことです。先送りしてよいことは何もありません。
忘れてならないことは、撤退後は、現地パートナーが社名とブランド名は使用しない条項を入れるべきです。

撤退原因は、本当のところ、外部からよくわかりません。公表された資料からは、次のようなことがあげられています。

1,政変 革命、政権崩壊。それに伴う各種制限。

2,外資に対する政策変更
雇用助成金制度・税制優遇措置の廃止・変化、ビザ発給条件の制限、国営事業の保護、許認可のライセンスの差し止め、外貨不足から外貨の使用の制限・輸入制限、輸入関税の大幅引き上げ、国内販売規制、現地材料の強制などがあります。優遇措置に魅せられて進出したのに、その中止というのもよくあります。

3,労務
労組の結成と大幅賃上げ、ストライキ、定着率の低下、労働者優遇制度、研修するも他社へ転職等あります。

4,進出先の事情変更
現地相手先企業が買い取るとのことで進出したが、買い取らなかった、相手先企業が他国に移転した等があります。

5,現地パートナーとのトラブル
現地パートナーの考え方、人柄、資金調達力・経営陣の能力の見損ない。
現地パートナーは目先の利益を優先し、品質管理や労務管理に不熱心。
現地パートナーから原材料を高く仕入れることになったり、現地パートナーから合弁会社へ高利の貸しつけがあったり、製品の横流し。合弁企業が軌道に乗ると経営権を独占したがります。

6,為替差損
取り引きがあった段階で、先物為替予約等のリスクヘッジをしておくことです。

7,通訳
1人の通訳に頼りきりになると、こちらが何も知らない状態に置かれ、その通訳が甘く見て詐欺を働くことになり、危険です。また、外に頼る人がいないため、その通訳を進出国の責任者にすると同じく危険です。通訳は語学の能力があるだけであって、信用があるわけでもなく、経営能力があるわけではありません。日本の通訳でも、通訳以外に能力がある人が少ないのと同じです。
また、通訳や現地採用を現地の責任者にすると、日本の会社のやり方や社風を全く理解してない場合、混乱が生じます。

8,商品が売れないというのも多いです。
私は素人ですので、あれこれいう資格は有りません。ある事件の破産管財事件をしていたとき、破産した会社の社長が「私のところの製品の品質については自信があるんですけどね。売るのが難しいんです。バブルのころは、作った片っ端から卸業者が買っていき、作るだけでよかったんです。バブルがはじけて売れなくなって、売ろうとしてもうまくいかないんです。」と言っていたのを覚えています。

 資料等からすれば、原因はいろいろあるでしょう。日本で作った商品が相手国の好み・需要とマッチしない。その商品がそもそも相手国の習慣で使われない。値段が高い。最近では、ものを作る機械が、中古でも簡単に手に入るようになり、進出国で安い原材料で安い人件費で同じようなものを作れば、安く売ることができます。(現に、日本で売られている商品は、かなりのものが、海外で生産されたものです)。能力がある営業マンがいない。販売網がない。流通網がなく運送費が高い。現金取引が少なく、掛け売りが多く、売掛金の回収ができない。

9,製造した製品の品質が悪いというのも多いです。
資料によれば、その原因としては、原材料が日本から持ってくると割高になり、現地で調達可能な原材料を使えば、品質が悪くなる、工員の教育が、言葉の壁もあって十分にできない、工員の中には、現地の文字を読めない者もいる、簡単な算数もできない者もいる、教育してもすぐに転職する、日本に研修に呼んでも進出国へ帰ったらすぐに転職する、教育する人材がいない、労働者を管理する人材がいない、などがあげられています。(2014.10.14)

10, なお、中国での、撤退の場合の方法については、劉手那弁護士のブログに紹介されています。
http://blog.sina.com.cn/s/blog_78b4c7390101e0dz.html (2014.12.14)