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あなたにある程度資産があれば、相続税と節税が重要です(2)

あなたにある程度資産があれば、相続税と節税が重要です(2)

(1からの続き)
8,相続税対策として、不動産購入やマンション経営アパート経営を勧める広告があります。最近ではタワーマンション購入の広告もあります。

現金を持ったままだと、相続財産は、その現金額です。評価する必要はありません。現金で不動産を購入すれば、購入した土地の評価と建物の評価となり、購入価格より相当減額された評価額になります。したがって相続税が安くなります。
タワーマンションは、相続税の評価上、下層階と高層階では同じですが、現実の取引価格は高層階の方が高くなっています。加えて、立地が良ければ価格低落はあまり無いと言われています。

ただし、そのマンションが現実に価格低落しないかどうかのリスクはあります。また相続開始直前に購入し、開始直後に売却したりすると、税務署から否認されることもあります。
この節税対策では、購入したマンションが容易に購入価格に近い価格ですぐに売れるか(流動性があるか)でしょう。売却価格が、節税しない場合の当初相続税を控除した取得遺産価格を上回る必要があります。取引価格が下がらず、いつでも売れるマンションである必要があります。立地場所がよくないアパートやマンションの経営は危険です。売ろうにも売れません。売れても安くしか売れません。そうなったら、節税して資産を保全したつもりが、資産を目減りさせたことになります。

9,贈与の利用。
少しずつ相続人の子供に贈与して遺産額を減らすというのもあります。基礎控除が110万円なので(租税特別措置法70条の2の4)、111万円贈与して1万円分の贈与税を納めるというのです。ただし、否認された例もあるようです(名義預金)。実際に通帳を子供に渡し、管理させるという事実が必要なのでしょう。
また、予想外に長生きして、贈与した金を返してくれと言うことになると争いが起きます。贈与せずに介護の手当として渡せば問題がなかったのです。

10,その他生前贈与についての非課税特例があります(期限付き、金融機関と教育資金管理契約を結ぶとかの条件あり)。ただし、孫が何人かいる場合、平等にしないとあとでもめます。

・祖父母などからの教育資金の一括贈与の非課税特例(H25.4.1からH31.3.31まで。1,500万円まで、租税特別措置法70条2の2)

・祖父母・父母などからの結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例(H27.4.1からH31.3.31まで。子育て1,000万円まで、結婚式300万円まで、租税特別措置法70条2の3)

・住宅取得資金の贈与の非課税特例(租税特別措置法70条の2)
などがあります。年寄りは金を使わないからはき出させて、若い子供夫婦に使わせて経済を活性化させようと言うことでしょう。

なお、課税されないといっても、遺産分割の際は、特別受益と言うことで、相続財産に加算されることになります(民903)。孫への贈与は、孫が相続人ではないことから特別受益とはなりませんが、やはりもめる要素にはなるでしょう。

また、相続財産といっても、民法の相続財産の範囲と相続税のそれとは、必ずしも一致しませ。注意が必要です。民法上は、生計の資本としての贈与を相続財産に加算します。期間制限はありません(民903)。相続税法上は、相続開始前3年以内の贈与です(相続税法19)。

11,贈与については、有名な武富士事件があります。平成23年2月13日、最高裁判決。
武富士事件
これは、武富士の代表取締役が、贈与税を回避するため、弁護士の説明を受け、さらに公認会計士から具体的提案を受け、受贈者たる長男の住所を国外の香港とさせるべく、香港のサービスアパートメントに住まわせ、また所有してた武富士の株式を譲渡するためにオランダ法人を作り、ついで、そのオランダ法人の出資口数の9割を長男に無償譲渡したというものです。
要するに、オランダ法人を介在させて、国内財産たる武富士の株式の支配を長男に無償で移転させたものです。
この裁判では、長男の住所は、香港にあったか、あるいは日本の杉並区の実家にあったかが争われました。当時の相続税法では、国外財産を贈与する場合、住所が国外にあれば、課税されなかったのです。東京高裁は日本にあったとして課税されるとしました。
しかし、最高裁は、租税回避の目的があったとしても、香港に「客観的に生活の本拠たる実態」があったとして、課税処分を違法としました。

この課税価格が、1653億円
贈与税額が、1157億円
無申告加算税が、173億円
でした。この納付済みの税金と国からの還付加算金400億円(国税通則法58条で7.8%加算)が、長男に還付されたのです。

その間、武富士は、多数の過払い請求を受け、平成22年9月に、会社更生法の適用を申請して、その株式は紙切れとなります(100%減資)。
もし、税務当局が、裁判所と同じく長男の住所は香港にあるとし課税しなかったならば、長男の所有する武富士の株式は、0円となっていたのです。 それを、税務当局が課税したばかりに、長男に対して、400億円もの利息をつけて合計2000億円ものプレゼントしたことになるのです。長男にとって、税務署は、救いの神だったのです。

オランダでは、子会社からの配当や株式譲渡益に課税されないと言うことで、多数の持ち株会社が設立されています。本件でも、オランダ法人の業務は、武富士の株式を保有することだけでした。オランダ法人については、三菱東京UFJのPDF参照

(3に続く)

(ご注意):以上は、概略を記載したもので、内容に責任は持ちません。それぞれ具体的な条件・例外があり、かつ頻繁に改正がありますので、弁護士・税理士等へご相談ください。)

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