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あなたにある程度資産があれば、相続税と節税が重要です。(1)

あなたにある程度資産があれば、相続税と節税が重要です。(1)
相続税期限後申請

相続税期限後申請

1,亡くなれば相続が発生します。 あなたに、基礎控除額3,600万円(3000万円+600万円×法定相続人)以上の資産があれば、相続税がかかってくることになります。平成27年1月1日以降の相続について、相続税が改正されたことについては以前ブログで書きました。

これまで真面目に申告して所得税を納めてきたのに、国は、亡くなったら死人に口無しで文句を言う人もこの世にいなく、相続人に対して、「お前が稼いだ金ではないだろう」ということで、多額の課税をしてきます。実際、相続人が稼いだ財産ではないので、しぶしぶ相続税を納めることになります。
そこで、亡くなる予定の被相続人にしても、なるべく相続人が相続税を1円でも安く課税されるように心を砕くことになります。それが節税です。 行きすぎれば脱税です。

2,なお、被相続人がこれまで確定申告をしていた人であれば、相続人は、被相続人の(準)確定申告をしなければなりません。相続を知った時から4ヶ月以内です。相続税については、 10ヶ月以内です。申告と納付も一緒です。
遺産分割がまとまらない場合には、いったん申告納税した上、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておきます。あとで更正の請求をします。
・なお、死亡保険金や死亡退職金は、民法上相続財産には含まれませんが、相続税法上は「みなし相続財産」と呼ばれて課税価格に含まれます。

 

3,相続税の基礎控除は、 600万円×相続人の数 です。
相続放棄した人も相続人に含めます。

 

養子も基礎控除の対象となります。H29.1.31,最高裁判所は、節税目的の養子縁組も有効としました。
従来の国税局の取扱は、下記の通りでした。変更されると思われます。
(国税当局の取扱:実子のほかに養子がいれば何人いても1人とし、 実子がいなければ2人として計算する。)
基礎控除額を大きくする方法は?? 子供を作ることです。事実は小説よりも奇なりといいますが、代理妻による子供です。

 
平成26年(2014年)、「24歳の日本人男性が、タイ女性の代理出産によって16人の乳幼児の父親になった。・・ IT通信の創業者の長男」ということです。インターネット上にパスポートの写真がアップされています。相続対策との報道もありますが、真相はよくわかりません。 現在はどうなっているのでしょうか?
こんな事案では、税務当局はどうするんでしょうか?
ただ、かかる行為は、刑法・民法が予定していません。徳川家斉将軍が50人以上の子供をもうけたのとは、性格が異なります。クローン人間を作るみたいで、恐ろしいです。

 

4,基礎控除を増やすために、養子縁組をする場合、他の相続人は、「形だけだから」ということで、遺産分割の頭数に入れないと考え、他方養子となった方は現実に養子だからその分の遺産分割をしてもらいたいと主張すれば、争いが生じます。
5,税率は国税局のHPに載っています。

法定相続分に応ずる取得金額    税率    控除額

1,000万円以下                10%                -
3,000万円以下                15%              50万円
5,000万円以下                20%        200万円
1億円以下                   30%        700万円
2億円以下                  40%       1,700万円
3億円以下                     45%         2,700万円
6億円以下                        50%         4,200万円
6億円超                             55%         7,200万円

要するに、 6億円を超える取得した遺産があれば、半分は相続税に持っていかれ、手元には半分しか残らないということになります。したがって、節税を考えるわけです。

6、軽減措置として,事業の用や居住の用に供されていた「小規模宅地の評価減特例」を利用できる場合もあります(租税特別措置法69条の4)。80%評価額を減らせます。

 

租税特別措置法69条に規定があります。条文がやたらと長く、いろんな場合を一つの文で記載したり、かつ政令で定めるもの、財務省令で定めるものと挿入したり、括弧の中にまた括弧書きしてあります。読み終わっても何が書いてあるかわかりません。税理士さんに相談した方がよいでしょう。
例えば、面積制限があります。居住用宅地で100坪(330㎡)以下です。事業用宅地で400㎡以下です。同居の有無・生計を一つにしていたか否かなどの条件があります。事情承継、保有継続などの条件があります。

 

7,配偶者が取得した遺産には、税額軽減措置があります(法19の2)。1億6千万円。ちゃんと相続税の申告をして、「申告期限後3年以内の分割見込書」(相続税法19条の2)を提出して、あとで更正の請求(同法32)をします。そうでないと軽減措置は受けられません。

国としては、残る配偶者もどうせ長くないうちに亡くなり(第2次相続)、そこで相続税を取ればよいと言うことでしょう。基礎控除は独り分減ります。
(2へ続く)

(ご注意):以上は、概略を記載したもので、正確性は担保しません。それぞれ具体的な条件・例外があり、かつ頻繁に改正がありますので、弁護士・税理士等へご相談ください。)

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