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自分の会社を作って成功した女性起業家の10年後?

自分の会社を作って成功した女性起業家の10年後?

現在(平成27年9月) 、市町村では、地方創生交付金が出るとかで、起業・創業・スタートアップなどの支援・バックアップ塾・カフェなどが盛りだくさんです。

 1,今から10年前も同じようなブームがありました。以下は、そのころ出版された本の内容です。

業種は

・人材紹介・派遣(各種人材、講師、芸能人、エステ、音楽家、美術家)

・秘書代行、家事代行

・人材育成、転職支援
・研修・セミナーの企画運営

・合コン企画、テレビ番組企画

・ブランド開発、キャラクター商品

・ネット関係

web制作、ポータルサイト、インターネット広告、ニュースレター代行、マーケティングリサーチ、ネット内職あっせん、ソフト開発

・ネット通販、古着バックのネット通販

・不動産業、レンタルオフィス、バーチャルオフィス

・ヨガスタジオ、ネイルサロン

・飲食店経営 ・宝石・化粧品販売

などです。

おおざっぱに言えば、設備投資が少なく、初期投資が少ないサービス業が殆どです。

2,現在どうなっているのか40人の女性起業家のHPをチェックしてみました。HPがあるのか・ないのかを検索してみました。

 おおざっぱに言えば、 2分の1がホームページがあり、4分の1が存在せず、 4分の1は不明でした(検索ではじめの2・3ページに出てこない)。
ただし、ホームページがあっても、なかには最終更新日が2006年というのもありました。現在はどうなっているのかわかりません。

・代表者が交替して男性となっている会社もありました。業種が変わっている会社もありました。

・ 1つの会社は、上場していました。立派です。

・同じ起業家で現在も活躍している様に見えた会社もあります。立派です。

・破産している会社や民事再生法の申請をしている会社もありました。

3,この10年後の結果をどう評価するかは、見る人の判断物差しによって異なってくると思います。
ただ、あとから冷静に見てみれば、当時成功していたと言う会社が、当時も本当に成功していたかどうかの客観的な証拠はありません。成功していると言う女性起業家会社の決算書は公表されていません。女性起業家本人が、売り上げが○○千万円とか言ってるだけです。大事なのは、売り上げではなく利益です。例えば、経済新聞で度々問題になっているシャープにしても、売上高だけで言えば、膨大な金額です。要は、利益が少ないから問題になっているのです。この利益に言及する起業家はほとんどいません。

4,この種の出版物やセミナーは、起業家会社の広告になりますので、無料であっても、執筆に応じたり、参加を希望したりする人は山ほどいます。そして、苦労をにじませた成功談、利益も上げていないのに成功談、起業についてどの本にも書いてあるようなことを自分の会社の紹介として同じような話です。例えば、家事と仕事の両立、起業の動機、自分でやりたかった夢実現、社会貢献などです。自分の会社の負債率、過重労働などの話はもちろんありません。差しさわりのない失敗談だけです。

5,10年後に存続していなかった会社の原因こそが知りたいところです。これは、なかなか難しいです。失敗した起業家は、黙って消え去るだけです。
要は、利益があがらなかったからですが、それが十分な売り上げがないかったからか、そもそも需要がなかったからか、競争が厳しかったのか、サービスの価格が高かったのか、従業員の管理がうまくいかなかったのか、サービスの質が悪かったのか、財務管理がうまくいかなかったのか、その具体的内容は分かりません。複合的な原因でしょう。
ある破産したインターネット関連の会社を見ますと、初期投資が数億円もありました。これを見ますと、当初からあまりにも大規模な起業は、経営経験がなければ難しいことがわかります。仮に起業するとしたら、小さい個人企業から始めるのが無難でしょう。

6,要は、誰が、どこで、何を=どんなサービスを、誰に、いくらで提供し、どれだけ売れ(これが難しい)、コストはいくらかを検討し、差し引きどれだけ儲かるのかを検討することになります。冷静にアドバイスしてくれる人がいれば、金を出してでも検討してもらったほうがいいでしょう。現に経営している人が最適ですが、そういう人は自分の会社の経営に忙しく、時間がありません。

最終的には、ご自分の判断と責任(支出、借金)です。 Good Luck !

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