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遺産分割で、現金、預貯金や損害賠償請求権は、どうなるのでしょうか?(2014.12.26更新)

遺産における現金、預貯金や損害賠償請求権の取り扱いは、どうなっているでしょうか?

1 、まず現金は、遺産分割手続きの中で分配します(最高裁、平成4年4月10日判決)。相続人が、遺産分割手続きを抜きにして、自分の法定相続分だけ請求することはできません。

2 .預貯金は、相続人が、法定相続分に応じて、金融機関に請求することができます。ただし、定額郵便貯金は、分割払い戻しができないという制限があって、遺産分割で分配します(最高裁、平成22年10月8日)。もっとも、定額郵便貯金のうち、郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)より前に預け入れたものに限ります。

判例変更(最高裁 H28.12.19) 遺産分割手続きで処理されます。

 

3 .損害賠償請求権(債権)は、相続分に応じて、損害賠償義務者に請求することができます。

法律の建前から言えば、上の通りですが、遺産分割手続きの中に含めて、相続人の1人を代表者として定め、その者が金融機関や損害賠償義務者と交渉して預貯金や損害賠償金を取得して、他の相続人に分配するという方法が妥当でしょう。

4、(追加 2014.12.26) 最高裁は、投資信託の分配金などが、投資信託の販売会社の被相続人名義口座に振り込まれて金銭債権になっても、相続分に応じて返還請求できない、と判決しました。なんかややこしい。

最高裁判所は、平成26年12月12日、委託者指図型投資信託に係る信託契約の受益権に基づく元本償還金と収益分配金が、被相続人の販売会社の被相続人名義口座に振り込まれて、預かり金となった場合にも、金銭債権として当然に分割される事はない。従って、相続人は、法定相続分に応じて返還請求を求めることは出来ない、と判決しました。遺産分割で分割されることになります。

 

参考法律
郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 抄
附 則 抄
第五条  この法律の施行の際現に存する次に掲げる郵便貯金については、旧郵便貯金法()の規定は、なおその効力を有する。
一  旧郵便貯金法第七条第一項第一号に規定する通常郵便貯金
三  旧郵便貯金法第七条第一項第三号に規定する定額郵便貯金

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