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遺産のMRFなどの投資信託受益権や国債などは、遺産分割で分割されますか?(2014.12.26更新)

 

遺産の中にあるMRFなどの投資信託受益権や国債などは、遺産分割手続きにより決定されますか、それとも相続開始と同時に相続分に応じて分割されますか?

1,遺産だから、当然遺産分割で分割されるのは当たり前ではないか、と思われる方もいるかもしれません。しかしそうではないのです。損害賠償請求債権のような金銭債権は、遺産分割手続きを経ないで、相続分に従って分割されるのです。福岡高等裁判所は、そのような判決をしました。しかし、それらは、遺産分割手続きにより決定されます。最高裁は、平成26年2月25日、遺産分割手続きにより処理されるとしました。
理由としては、投資信託受益権には、帳簿書類の閲覧・謄写請求権などが含まれており、当然分割されて請求する性質のものではない、ということです。国債についても、 1単位未満の権利行使が予定されていない、という理由です。

2,コメント。
MRFなどの投資信託受益権には、帳簿書類の閲覧・謄写請求権などが含まれており、と理由付けていますが、日本全国でMRFを所有している人のうち、一体誰が帳簿書類の閲覧や謄写を請求する人が現実にいるのでしょうか。ほとんどは、銀行の普通預金と同様の使い方をしているのではないでしょうか。実務の運用とかけ離れた、法律の建前を重視した結論です。

3,次に、この遺産分割の手続きは、あまりにも長過ぎます。相続人のうち、亡くなる人が出てきてもおかしくはないです。そうすれば急転直下、解決するでしょう。
被相続人が亡くなったのが平成17年9月
遺産分割の審判が確定したのが平成21年3月
MRFの共有物分割請求の1審判決が平成22年10月
最高裁の今回の破棄差戻の判決が平成26年2月
すでに相続が開始してから9年経っており、差戻しですから、さらに裁判が続きます。相続人は10年以上にわたって相続争いをしていることになります。

4,このようになった原因の1つは、遺産分割の審判官が、投資信託受益権についての理解が不十分で、審判の結果が今後どのようになるのかについて、十分に考えていなかったためだと思われます。そのために、家庭裁判所に申し立てた相続人は、さらなる訴訟をせざるを得なくなってしまったのです。
そもそも、何年も争っている相続人間の共有と審判したのが間違いの元だったのです。相続人の1人に帰属させ、過分な場合は代償分割する方法も考えられます。

今後も、特に外国と関係がある金融商品の場合は、内容がよくわからない仕組みの投資用金融商品が出てくるものと思われます。そうした場合は、遺産分割の対象として、相続人のうちの1人に帰属させ、過分な場合は代償分割にする方法も考えられます。

今後、弁護士も金融商品の性質について勉強する必要があります。(2014.10.14)

被相続人は、理財に長けた人だったかもしれませんが、10年もの間、相続人が相続争いをし、そのコストを考えれば、マイナスとなったのでは?

(追加 2014.12.26) 分配金などが、被相続人の口座に振り込まれても同じ。なんかややこしい。
最高裁判所は、平成26年12月12日、委託者指図型投資信託に係る信託契約の受益権に基づく元本償還金と収益分配金が、被相続人の口座に振り込まれて、預かり金となった場合にも、金銭債権として当然に分割される事はない。従って、相続人は、法定相続分に応じて返還請求を求める事は出来ない、と判決しました。遺産分割で分割されることになります。

参考法律
投資信託及び投資法人に関する法律
(目的)
第一条   この法律は、投資信託又は投資法人を用いて投資者以外の者が投資者の資金を主として有価証券等に対する投資として集合して運用し、その成果を投資者に分配する制度を確立し、これらを用いた資金の運用が適正に行われることを確保するとともに、この制度に基づいて発行される各種の証券の購入者等の保護を図ることにより、投資者による有価証券等に対する投資を容易にし、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条   この法律において「委託者指図型投資信託」とは、信託財産を委託者の指図(政令で定める者に指図に係る権限の全部又は一部を委託する場合における当該政令で定める者の指図を含む。)に基づいて主として有価証券、不動産その他の資産で投資を容易にすることが必要であるものとして政令で定めるもの(以下「特定資産」という。)に対する投資として運用することを目的とする信託であつて、この法律に基づき設定され、かつ、その受益権を分割して複数の者に取得させることを目的とするものをいう。

22   この法律において「外国投資信託」とは、外国において外国の法令に基づいて設定された信託で、投資信託に類するものをいう。

( 受益証券)
第六条   委託者指図型投資信託の受益権は、均等に分割し、その分割された受益権は、受益証券をもつて表示しなければならない。
2   委託者指図型投資信託の分割された受益権の譲渡及び行使は、記名式の受益証券をもつて表示されるものを除くほか、受益証券をもつてしなければならない。
3   委託者指図型投資信託の受益者は、信託の元本の償還及び収益の分配に関して、受益権の口数に応じて均等の権利を有するものとする。

( 投資信託財産に関する帳簿書類)
第十五条   投資信託委託会社は、内閣府令で定めるところにより、投資信託財産に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
2   委託者指図型投資信託の受益者は、投資信託委託会社に対し、その営業時間内に、当該受益者に係る投資信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写を請求することができる。
個人向け国債の発行等に関する省令
(振替単位)
第三条   個人向け国債の額面金額の最低額(以下この条及び次条第八項において「最低額面金額」という。)は、国債の発行等に関する省令 (昭和五十七年大蔵省令第三十号。以下「発行省令」という。)第三条 の規定にかかわらず、一万円とし、振替法 の規定による振替口座簿の記載又は記録は、最低額面金額の整数倍の金額によるものとする。

(中途換金に関する事項)
第六条   個人向け国債の中途換金は、当該個人向け国債の第二期利子支払期以後において行われる場合に行うことができるものとする。
2   個人向け国債の中途換金を請求しようとする者は、取扱機関に対し、当該個人向け国債の買取りを請求するものとする。
3   取扱機関は、前項の規定による請求を受けたときは、遅滞なく、当該個人向け国債を買い取り、日本銀行に対して当該個人向け国債の買取りを請求するものとする。

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