再生債権者たる銀行が、再生債務者の銀行に対する投資信託解約による支払請求権を受働債権として相殺することは許されないとした最判H26.6.5。
1、最近、「貯蓄から投資へ」の流れに沿って、資産を預金ではなく投資信託として所有する例が増えています。遺産の中に、投資信託受益権・MMFがある場合については、別記事で述べました。
本件は、大雑把に言えば、銀行の取引先が銀行を通じて投資信託していたところ、同取引先が民事再生を申し立てたため、銀行が、取引先に対して持っていた再生債権を自働債権とし、再生債務者が持っている受益権の解約金支払請求権を受働債権として、相殺できるか、という問題です。
問題は、再生債務者の解約金支払請求権の発生時期と、銀行が取引先に対して持っていた債権とその解約金支払請求権とを担保として相殺できると本当に期待していたのかという点です。
(注)以下は、判決をわかりやすく書き換えてあります。判決そのままではありません。