面会交流を認めない監護者から他方親に監護権を変更した東京家裁八王子支部審判平2 1. 1. 22を紹介します。
母親と父親は家庭内別居状態となり, 離婚が問題となっていたところ, 母親が7歳の子供(男児)を連れて別居したので, 父親が子供の引き渡しを求めた事案です。
家庭裁判所の審判は, 母親が子供を乳幼児のころから現在までほぼ専業主婦として食事や身の回りの世話をしてきたこと, 母親と子供との関係は良好であることから, 子供に安定的な母子関係を形成することが重要で, 子供と母親とを分離することには問題があり, 子供を父親の下に移すと転校を余儀なくされ, 学校生活の継続性を失わせるとしたものの、
他方で, 母親には, 子供が幼稚園で精神的に不安定な状態となった際に十分な対応をしなかったなどの従前の監護養育状況に問題がなかったといえず, 子供を身近に置いて十全に監護できる状況にあるとはいえない上, 適切な監護補助者もいないとし, 加えて「母親は, 父親と子供とが面会交流をすることについて反対の意思を有しており, 本件申し立て以後においても. 子供の通院等の手続きについても父親の協力を拒むなどし」、「母親のかかる態度については, 父親と子供との交流を妨げる結果となっており, 子供が社会性を拡大し, 男性性を取得するなどの健全な発育ないし成長に対する不安定要素となっている」として. 「母親を子供の監護者と指定し,母親において引き続き子供の監護養育を行うことよりも, 子供の監護者については, 父親と定めてその下において養育させるのが子供の福祉にかなう」としました。(家裁月報61-11-87及び63・9ー50)(2015.1.7)
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