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面会交流の方法が特定されているとして、間接強制を認めた決定(東高H26.3.13。確定)(その1)

面会交流の方法が特定されているとして、間接強制を認めた決定(東高H26.3.13。確定)(その1)

面会交流の方法が特定されていないとした家裁の決定が取り消され、特定されているとして間接強制が認められた例(東京高等裁判所H26.3.13。確定)(その1)

事案の概要(本件「家庭の事情」があるために長いです。要注意。ブログ主が読みやすいよう決定文に加工しています。)

高裁は、まず離婚の原因である夫婦不仲のとなった原因について、「父親がトイレを使用した後に蓋を閉めなかったとか、浴室やトイレの電気を消し忘れたとか、抜け落ちた髪の毛を放置したなどの日常生活の些細なことに対して母親が口やかましく注意し、目の付くところに注意の張り紙をするなど異常な対応をとったこと・・から、口では負ける父親が母親の腕を叩くなどして、夫婦の亀裂が決定的なものとなってい」った。

平成18年1月頃には、母親は父親の食事を一切作らなくなり、父親もできる限り母親と接触しないように、朝は出勤直前まで寝ていて、夜は外食して遅く帰宅するなど生活もだらしなくなり、そのことからまた、母親は、子供らの前でも、父親に対して汚い、臭いなどと罵り、食事中に父親が近づくと、子供らと一緒に別室に移動するなどしたため、子供らも父親を蔑視するようになり、平成18年8月頃に、父親が海外出張中に自宅に電話をすると、わずか三歳の女が「あっ、おやじだ。」と発言し、四歳の長男も「早く切れ。」と長女に命じるなどの状況であった」。

このように、子供らは、幼いときから、父親に対して生理的な嫌悪感を感じた母親の影響を強く受けて、父親に対する特殊な感情を抱くに至っており、父親との面会交流に極めて消極的な姿勢であることは明らかである。

しかしながら、他方において、父親は、父として、子供らに対して何か危害を加えたとか、その福祉に反するような行いをしたということはなく、もっぱら母親との関係が悪化したことにより、母親がまだ幼い子供らにも母親と同じ対応をとるよう仕向けた結果、徐々に現在の子供らの父親に対する態度が形成されていったものであると考えられるから、そう意味では、母親は、子供らの父親に対する受け止め方や評価を操作したものと同じであり、子供らと父親との健全な父子関係の構築や発展を、自己の不安定な感情に任せて実質的に阻害してきたものということができ、その意味では、子供らの監護者としての適格性にも大きな問題があるところである。」と認定しています。

なお、父親は、母親に対して、子供らの養育費として月1人5万円ずつ合計10万円を支払っています。

それなのに、このような母親の元で育った長女は、裁判所に対して、「お母さんに暴力をふるったり本当にやめてもらえますか?」「私たちのお母さんをくるしめないでもらえますか?」「私たちはあなたのことが世界一きらいだし、あなたのことお父さんなんて思ってません」と書いた書面を提出している。
長男は、公益社団法人家庭問題情報センター(FPIC)から母親に送られた文書に「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな」「死、死」「お前は死ねばいいんだよ、このクソやろう」「お母さんを苦しめるな」などと乱暴に大きな字で走り書きしていた。

そして、母親は、裁判所において、「自分は子供らと父親との面会交流を否定するつもりはないものの、 子供らが父親との面会交流を嫌がっているので仕方がない」と主張している。

それに対して、高裁は、「母親は、裁判所からの名称と住所などが印刷されてる封筒で関係書類が繰り返し送達されているにも関わらず、全く無視して受けとらず・・・全く誠意ある対応を取ろうとしていないことは明らかである」と認定している。

さらに、「母親は、これまでにも子供らと父親との面会交流を命じられているのであるから、本来であれば、仮に子供らが父親との面会交流を嫌がっても、父親は子供らにとって血をわけた父であり、いざというときには子供らの力になってくれる存在であることなどを根気よく説明するなどして、子供らが父親と少しでも直接交流して、わずかずつでも心のわだかまりを解消できるよう努力すべきであるのに、子供らを口実に、父親が子供らと会うのを妨げており、これをそのまま放置しておくことは、客観的かつ長期的観点から、子供らの福祉を阻害することが明らかであって、もはや子供の現在の気持ちを尊重していれば良いというものではなく、・・・専門家の手助けを受けながら、少しずつでも徐々に子供らと父親との面会交流を実現して、父の姿や態度などをそのまま経験的に感じさせていくことが必要であるから、子供らが父親との面会交流に消極的であるということは、子供らと父親との面会交流を命ずる妨げにはならないと言うべきである。

・・・・本件で子供らの利益は、現在の子供らの意思に任せて、父親との面会交流をしないまま放置しておくことではなく・・少しずつでも子供らと父親との面会交流が実現するように出来る限り環境を整えつつ、子供らと父親との面会交流を少しでも実現させ、子供らにおいて、母親を介して得られた情報によってではなく、直接自ら父親と会って得られた情報によって、父である抗告人を認識することこそ必要なものである・・・」から、間接強制をすることができると言うべきである。

 家裁の家事審判の主文

面会交流の頻度および日程として
本件審判確定の日の属する日の翌日から2か月に1回の割合で、原則として毎偶数月の第一日曜日とする
面会交流の時間として、面会1回につき2時間

これに対して、高裁は、「子の引渡しの方法などについては・・・○○市内において面会を実施し面会交流を支援する第3者を立ち会わせることができるとされているが、子供らの引き渡し場所などは、その記載上は具体的に特定されてはいない。しかしながら、他方で、本件審判の主文には、母親が父親または父親があらかじめ指定した者に対し子供らを引き渡すことが明記されており、しかも、一件記録によれば、父親があらかじめ指定した者とはFPIC乙の職員であり、母親が同職員に子供を引き渡すことが、当事者双方の共通の認識になっていたことが認められる。・・・・

このような本件の事実関係の下においては、面会交流の実施に必要な子の引き渡しの方法についても、父親と母親との間で、母親がFPIC乙の職員に子供らを引き渡すということで黙示の合意があり、そのことを前提として、本件審判では、上記のような定め方がなされたものであることが認められるから、本件審判では、実質的に、子供らの引渡方法等についても具体的な定めがあるものと見ることができ、本件審判の主文は、監護親である母親がなすべき給付の特性に欠けるところはないものと認めるのが相当である」としました。
その上で、間接強制として、不履行1回につき1人2万円の割合による強制金を支払うよう命じるのが相当、としました。
(裁判長裁判官 須藤典明 裁判官 小川浩 島村典男)
その2)に続く。

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