儒者古賀穀堂の佐賀藩政の改革建白書 2ー再建の殿様・鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(2-6-17-3)
第2編 公の初政治
第6巻 公入部(家督相続)の新政治
第17章 藩政拡張の初歩
・儒者古賀穀堂の藩政改革建白書(救急封事:封をした意見書)
(1から続く)
1,・・山方(米以外の収入)など藩産の利潤となるべきことを、よくよく吟味して手をつけられ、俗吏の利益に走って、眼前の損益にこだわることのないように。また新田開発や外国貿易のこともいろいろあるけれども、これも上納などのことは、まず留め置かれて、民の潤いにさえなればよろしい、というように心がけるべきである。
1、藩産は、米より外はなく、ほかに陶器だけである。その他いろいろあるけれども、他藩に売り広めて利益になるほどのものはない。それなのに、他藩からは、呉服類をはじめ、雑穀・魚・塩など種々のものを買い入れ、最近では久留米藩大川の戸・障子類、柳川藩の木綿類など種々入り込み、はなはだしきは、飲食の奢りは天下第一とも思われる。魚類、山の如くにあれども、なお不足して、唐津その他よりはなはだしく持ち来たり。酒も上方・長崎から入ってくる。菓子も、西国にては部類の良品で、これを他藩に出すことはないけれども、かといって、他藩から入ってくるほどのレベルのものはない。
このような奢侈・無用のことは禁止して、国産を豊かにし、あくまで他藩の金銭が入り込まぬようにして、また人手不足のため、開発が届かぬようであれば、大村・天草のような人口の多いところの者を、土着法(土地を与えて生計を立てるようにしてやる方法)を作り、働かせる方法もある。