先生に対する師弟の礼(江戸時代、大名と商人の違い)ー鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(1-4-11-3)
しかし、経書(儒学の経典)を講釈する場合、大名は上座を避けて、横に座を移し、「授業板」という黒塗りの板をおいて、その上に本を置いていた。
・一方、豪商・商人等が、町学者を呼んでの聴講は、すこぶる不遜をきわめたものである。商人等が上座に座るのに対して、講師は部屋の入り口までひざまずいて進み、手をついて講釈するのに甘んじていた。
(コメント:身分制度が厳しかった江戸時代でも、大名が儒者や高僧から教えを受けるときは、家来の学者であっても、学者に師弟の礼をとっていたのです。他方、商人が、町学者を招いて講義を受ける際には、そうではありません。このように、学者に対して師弟の礼を欠いたやり方に甘んじている学者を「売学者」と軽蔑しています。
- 境界確定の訴え(江戸時代、佐賀藩と久留米藩との境界) 2ー鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(1-4-11-2)
- 地位・勲章でもって、藩主をコントロ-ルするのは、将軍の得意技 ー鍋島直正公伝を読む(1-5-13-1)