江戸幕府の刑事訴訟手続き1(不敬罪)ー再建の殿様・鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(2-9-26-2)
第2編 公の初政治
1,一橋家では、幕府に判断を仰ぐとともに、事実経過を記した書面を提出し、さらに種々の運動をして寛大処分を得ようとしていた。
翌22日、法廷を開いた。調役、金井伊大夫をして、猪之助に、田中熊八ほか7人の容疑者を引き合わせて、実行犯を指示させた(面割り)。
3, 25日、さらに法廷を開いた。調役には、豊田藤之允を加えて、交互に被告らを尋問し、実行犯を特定しようとした。ただ、豊田は、一橋家による内密運動で調役に加わった者であった。
4, よって、神田屋を召喚して尋問したところ、同人は臆するところなく白州に立ち上がって、彼らが土足にかけたときの身振りをしながら証言した。
されど、4人は、なお言を左右にして白状しないので、遂に九里亀治郎を海老責めの拷問にかけたところ、彼は苦痛に絶えずして「關札を打ち倒したのは、4人がともにしたことであるが、これに土足を掛けたのは中島吉太郎一人である」と白状した。
- のらりくらりの交渉は難しい(不敬罪を犯した一橋家相手)ー鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(2-9-26)
- 江戸幕府の刑事訴訟手続き2(不敬罪)ー再建の殿様・鍋島直正公伝(久米邦武著)を読む(2-9-26-3)