データの出所は、福岡県新型コロナ感染対策のポータルページです。
入院者346人、死亡20人、退院者275人(2020.5.1現在)。
公表日毎に表形式で公表してありますが、全体としての特徴がよくわかりません。それでまとめて整理してみました。
データは、この通りです。20.5.1福岡県コロナ
1,まず「症状なし」が、 647件中106件あります。
年齢別感染者症状
「症状なし」というのは、初めから症状がないものと、初めは発熱症状でしたが、公表段階では症状がなくなっていたものを含みます。
20歳未満の感染者数は、 30人と少ないものの、その43%強が「症状なし」です。
そのため、感染していない祖父母が、外出自粛でしばらく会っていないため、感染しているけど症状がない孫に久しぶりに会って抱いたりすると、たちどころに感染してしまう危険が可能性としてありそうな気がしますります。
2,上に述べたような家庭内感染も非常に多いです。このデータの感染者の属性を見て気づくのは
まずは家庭内感染
病院の院内感染、
老人が多いホームや介護施設内感染、
フィリピンパブ
美容室
海外・東京・大阪への旅行
などです。免疫力が少ないというか抵抗力が弱い人は、たちどころに感染して発症してしまうことがわかります。
3,このような家庭内感染や院内感染の現状を見ると、病院がいっぱいで入院できない軽症者を自宅療養するというのも、入院先がないため仕方がないとは言え、やはり感染のリスクは十分にあると思われます。
軽症の感染者が単身の場合、スーパー等に惣菜や食材を買いに行くというのも大変だし、感染のリスクを広げることにもなりかねません。
4,感染者の居住地ごとに、人口1,000人あたりの感染者数を見てみますと
5人以上は福岡市中央区、糸島郡
4人以上は福岡市博多区
3人以上は豊前市
2人以上は大野城市、行橋市、春日市と続いています。詳しくはPDFの通り。 糸島郡は人口3万人くらいなのに16人もの感染者が出ています。豊前市にしても人口2万8,000人くらいなのに10人もの感染者が出ています。
1人の感染者が出て、たちどころにその家族などに感染して行ったことがわかります。
こういう現象を見ると感染者が発見されれば、直ちに接触した可能性がある人たちを検査し、感染が確認できれば直ちに隔離すれば、それ以上の感染は防げたと思われます。
他方、感染者が出ていないのは、うきは市、みやま市、嘉麻市、宮若市、大川市、朝倉市、田川市、北九州市八幡東区などです。ここらでは、近所の人と話をする限り、マスクをする必要もない気がします。
NO |
自治体名 | 人口 | 1千人当たり | |
11 | 福岡市中央区 | 162,040 | 84 | 5.184 |
49 | 糸島郡 | 31,203 | 16 | 5.128 |
10 | 福岡市博多区 | 191,471 | 80 | 4.178 |
27 | 豊前市 | 28,004 | 10 | 3.571 |
32 | 大野城市 | 94,287 | 22 | 2.333 |
26 | 行橋市 | 71,993 | 15 | 2.084 |
31 | 春日市 | 108,561 | 22 | 2.027 |
12 | 福岡市南区 | 242,228 | 45 | 1.858 |
9 | 福岡市東区 | 273,459 | 41 | 1.499 |
18 | 久留米市 | 303,233 | 45 | 1.484 |
15 | 福岡市早良区 | 208,963 | 31 | 1.484 |
1 | 北九州市門司区 | 108,293 | 14 | 1.293 |
44 | 糟屋郡 | 211,547 | 27 | 1.276 |
13 | 福岡市西区 | 185,987 | 20 | 1.075 |
33 | 宗像市 | 94,780 | 10 | 1.055 |
4 | 北九州市小倉北区 | 177,652 | 18 | 1.013 |
14 | 福岡市城南区 | 120,672 | 12 | 0.994 |
54 | 京都郡 | 56,721 | 5 | 0.882 |
36 | 古賀市 | 57,640 | 5 | 0.867 |
5 | 北九州市小倉南区 | 215,331 | 16 | 0.743 |
37 | 福津市 | 55,819 | 4 | 0.717 |
47 | 嘉穂郡桂川町 | 14,358 | 1 | 0.696 |
24 | 筑後市 | 48,583 | 3 | 0.617 |
45 | 遠賀郡 | 97,939 | 6 | 0.613 |
43 | 那珂川市 | 49,322 | 3 | 0.608 |
2 | 北九州市若松区 | 86,945 | 5 | 0.575 |
22 | 柳川市 | 73,231 | 4 | 0.546 |
7 | 北九州市八幡西区 | 257,412 | 13 | 0.505 |
30 | 筑紫野市 | 99,849 | 5 | 0.501 |
34 | 太宰府市 | 68,601 | 3 | 0.437 |
52 | 八女郡 | 49,256 | 2 | 0.406 |
20 | 飯塚市 | 132,220 | 5 | 0.378 |
16 | 福岡市 | 1,384,820 | 38 | 0.274 |
(注)福岡市というのは、何区か不明のもの)
5,年齢別感染者数を見ますと、 20歳未満は少なく、 20歳以上70歳までが647人中、それぞれ80人以上占めています。
しかしながら、上に見たように、 20歳未満では感染していても症状がない人も多く、徹底的に検査すれば20歳未満で感染している人の数はもっと増える可能性があります。
6,公表日ごとの感染者数を見てみますと、 4月11日の43件をピークにその後次第に減ってきています。県民の努力の賜物でしょう。
7,検査数が少ないと言われています。仕方がないです。 平成8年までは全国に800箇所以上あった保健所は、「行政のスリム化」の名の下、現在は500箇所足らずになっています(厚生労働省健康局健康課地域保健室調べ「保健所数の推移」)。
財政難と人材不足で保健衛生行政は弱体化していたのです。かつて大牟田市にあった保健所もなくなってしまいました。なんと、大阪市には保健所が1つしかないということです。金儲けにはならないからでしょう。
そこに、今回のコロナウイルスの侵襲で、多数の感染者が出てしまいました。 財政難で、保健所も非正規職員が相当数を占めているようです。少ない人材でこれまで経験してこなかった新型ウイルス対策をやれと言っても限界があります。
8,専門家の説明が十分に理解できません。
専門家会議の責任者は、テレビで、日本は、ヨーロッパに比べて感染者数が10分の1で、感染対策がそれなりに機能していると説明していました。
しかし、台湾や韓国では、感染が抑えこめた状況と報道されています。うまくいってるところとは比較せず、うまくいっていない国と比較してもあまり説得力ありません。
それと、アジアでの感染者数が少なく、欧米で多いのは何かほかの理由があるかもしれず、日本のコロナ感染対策が優秀と言い切れるのだろうかとの疑問もあります。
次に、以前は、「この1・2週間が山場です。」と説明していたのに、その期間が経過すると、「これから1・ 2週間が重要な時期になります。」とその説明の変化に信頼性が薄らいできます。わからないならわからないと言えばいいものを、国民に不安を与えないためか、分かったような説明をされるのはうんざりです。 専門家で優秀な方でしょうが、国民に対する説明方法がうまいとは言えません。河野防衛大臣じゃありませんけど、定義がはっきりしないカタカナを使うこと自体、国民に理解してもらうとの配慮がかけています。
WHOの事務局長にしても、初期の段階で「人の交流や貿易を制限するなんてやりすぎだ。」と説明していました。その結果が現在です。
9,知らないままに感染してしまった方にも、それ以上感染者を増やさないためにそれなりの行動制限が出てくることになります。
この新型コロナウイルスの感染経路の詳細はわかっていませんが、その感染力の強いことはわかっています。したがって、自分が感染したことが分かれば、それ以上感染者を増やさないことが必要でしょう。
かつて、易者が、自分が性病にかかって感染させる恐れがあることを認識しながら、女性を騙しその同意を得て、女性の外陰部に自己の陰茎を押しあて、性病を感染させた事件がありました。
この事件について、最高裁判所は、昭和27年6月6日、傷害罪が成立すると判決しました。
同時に、国は、感染者の行動制限をする以上、感染者が心配なく食事・睡眠等の生活ができるように必要があります。自宅療養というのはあまりにも無責任でしょう。
10,江戸末期、コロリ病(コレラ)疫病が流行ました。これを思い起こさせます。未知の疫病に対して、いい加減なうわさが出回るのは、今もあまり変わっていません。
「寛政のころであった。長崎市民の間では、奇怪な風説が流行った。世の末になれば、トンコロリンと言う疫病が流行し、人類はその疫病によって絶滅する、 と言うのであった。
トンコロリンというのは、その病気にかかると、鉄砲で射殺されるように、トンという一声を聞くと同時にコロリンと倒れるという意味で、猛烈な急病を意味する。
1858年、長崎では、猛烈な下痢を発生する疫病が流行して、数人が死亡し、次いで佐賀にも流行して、昨日までは健康を誇っていた者も、今日は猛烈な下痢をして、その手足はたちまち冷たくなり、やがて息絶えて死んだ。
そこで一般市民は、これが「トンコロリン」 と恐怖し、トンコロリンは音を嫌うということから、夕方には、簑を叩いたり大声を出したりして、これを追い払い、武士の家では、鉄砲を放って、トンコロリンを追い出そうとした。
この恐怖は、 まわりの村にも及び、太鼓を打ってこれを追い払おうとするなど、その恐怖は佐賀城下に満ち、その光景はせい惨であった。これがコレラ流行の始まりであった。」(鍋島直正公伝)
ロンドンでも、1854年、コレラが発生します。当時、コレラは空気伝染すると考えられていました。しかし、内科医ジョン・スノーは、1855年「コレラの伝染形態」という本を出版して、「汚染された水道水がコレラを伝染させた」とする空間データ分析の結果を公表しました(「社会科学のためのデータ分析入門」、今井耕介著 299ページ)。
現在、世界中で、コロナの治療や地道な研究をされている方々にエールを送りたいです。
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