福岡での法律相談 山田法律事務所    

高齢者の犯罪

60歳以上の犯罪を分析してみました。
どんな犯罪がどれくらい多いか、年齢毎にどうなっているか、男女の割合はどうかについて分析します。

  データは、第一東京弁護士会・刑事弁護委員会が出版している「量刑調査報告集Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ (平成 22~30年)によります。ただし、 道路交通法違反、薬物事犯、 入管法違反は除きます。
 また、暴行には、脅迫、器物損壊、暴力行為等処罰に関する法律違反、ストーカー規制法違反を含みます。わいせつには、強制わいせつのほか、強姦、公然わいせつ、わいせつ電磁的記録記録媒体頒布罪等を含みます。窃盗には、住居侵入や建造物侵入等も含みます。常累盗は、常習累犯窃盗のことです。

 これを見ますと、窃盗・常習累犯窃盗が圧倒的に多くなっています。女性高齢者の犯罪も窃盗がほとんどです。犯罪白書によれば、高齢者の窃盗犯で、犯行当時ほとんど金がないというのは少なく、「金がなくなったらどうしようという恐怖感」から犯行に至ったというのがほとんどであったと報告されています。恐怖感が犯行の動機です。

 といっても、使い切れないほどの資産がありながら、長生きして高額で高級のシニア施設に入る資産が必要だと節約し貯蓄に励み、亡くなる段階で使い切れないほどの資産があって、資産を残したい親密な家族もいないような場合、どんな気持ちなんでしょうか。「あの世に持っていけんし。」??

 テレビ報道でもあるように、高齢者の自動車運転過失致死傷罪も相当あります。元経済産業省の幹部や福岡高等検察庁の検事長も事件になりました。

公務執行妨害もそれなりにあります。

強盗は年齢とともに少なくなります。やはり、相手の反抗を抑圧する程度の暴行脅迫を行うには、それなりの体力がなければなりません。強姦も同様です。

年齢

罪名

61-62

63-64

65-66

67-68

69-70

71-72

73-74

75-76

77-78

79-85

総計

83-85

総計

その他

23

16

15

9

5

4

3

1

1

3

80

わいせつ

6

6

2

4

18

18

強盗

3

2

1

6

6

業務上横領

1

6

1

8

8

公務執行妨害

3

2

3

1

1

1

1

1

13

13

詐欺

8

6

6

3

1

2

4

1

1

2

34

34

詐欺(無銭飲食

10

5

5

2

1

23

23

殺人

2

2

1

1

1

7

7

自動車運転過失致死傷

12

13

8

12

1

4

4

3

3

2

62

1

62

傷害

11

7

3

3

4

2

2

1

1

34

34

常累盗

14

20

13

14

2

4

4

7

4

2

84

84

侵入

2

1

4

3

2

1

1

14

14

窃盗

49

32

25

18

12

9

6

7

2

162

162

窃盗(万引き)

23

15

18

8

15

14

7

5

4

9

119

119

占有離脱物横領

4

4

2

5

1

1

2

1

1

21

21

暴行

7

7

8

2

3

6

1

1

1

1

37

37

迷惑防止条例違反

6

5

3

2

1

1

1

19

19

総計

184

149

117

85

48

47

37

31

18

17

741

741

高齢者犯罪性別

高齢者犯罪性別

高齢者犯罪別件数

高齢者犯罪別件数