倒産と登記(1)
原告=破産管財人が否認権行使 VS 被告=未登記抵当権者
(事案は、抵当権者から債務者に上記不動産を自己(抵当権者)に売却し、その代金債務と被担保債権を相殺することを求め、債務者がこれに応じたもので、破産管財人が旧破産法72条1号に該当するとして否認し、所有権移転登記の抹消登記手続を提訴した。)
(原審は、未登記であっても優先的に弁済を受けられると判決した。なお、担保権者に対する代物弁済は、被担保債権額の範囲内に関する限り、否認権の対象とはならないとするのが判例。)
・判旨:
抵当権の設定を受けた債権者が、その登記を経由していない場合には、右抵当権設定をもつて破産債権者に対抗することができない。従って、このような未登記抵当権者は、他の破産債権者に優先して担保物件からは担保債権の弁済を受けることができない。すなわち、目的不動産は、破産債権者の共同担保となる。 従い、破産者が未登記抵当権者たる債権者と通謀して、右債権者だけに優先的に債権の満足をさせようと、その唯一の資産である不動産を、売買代金債権とは担保債務等を相殺する約束のもとに右債権者に売却した場合には、、その売買科学が適正であるとしても、右売買は破産法村中2条1項 、所定のさない行為として否認権行使の対象となる。 最高裁判所第二小法廷 民集25.5.779 昭和46年 7月16日
破産者が、従前、抵当権者と懇意だったり、破産後にも、面倒を見てもらうとかの意図で、こういうことはよくあることです。
抵当権の登記をしていなかったのが、間違いでした。