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経営再建中の大塚家具がヤマダ電機から43億円の出資を受け、傘下入り(2019.12.19)

とうとうここまで来たか、という感じです。大塚家具の長女久美子社長も、力を尽くされたのでしょうが、その任になかったのでしょう。

大塚家具の事件は、相続対策と事業承継の難しさを教えてくれます。

 大塚勝久社長は、自分が亡くなった場合、自分が持っている大塚家具の株式に多額の相続税が課税されることから、資産管理会社を作ります。その会社の株主・役員には、自分の妻と子供5人を選任します。 そして、自分の持っている大塚家具の株式をその資産管理会社に譲渡し、その対価としてこの会社が発行する社債を引き受けます。当社の目論見は、その資産管理会社は、大塚家具から株式配当を受け、その配当金の中から社債の利息を支払い、配当金の額が利息よりも多いと見積もって、その差額を資産管理会社の役員である子供たちに分配させるという仕組みでした。
 ところが、国税が、 1人あたり、2,000万円以上の贈与税を課税してきます。ここで、相続対策のスキームが大きく崩れてしまい、不和が生じます(以上は週刊東洋経済2015.3.14号から要約)。

 ところが、親子で委任状争奪戦になると、この資産管理会社を支配していた長女久美子が、この会社の委任状を取得します。そして投資ファンドの委任状も得て、委任状争奪戦に勝利し、大塚家具の経営者として経営に乗り出します。この争奪戦に勝利した後、「父親の時代と経営環境は変わっている、時代にあった経営スキームを改革する。また配当を引き上げる。」などと言って、株価は急騰します。

 しかし、その後の経営は赤字続きで、冒頭の通りヤマダ電機の支配下に入ります。

 経営能力がない承継者に事業を承継させれば、このような結果になります。しかし、この大塚家具の事例を見ても、投資ファンドも久美子社長に組みして、彼女の経営能力を見抜けなかったわけです。「経営環境は変わっている。経営のスキームも変えなければならない。」といったよくあるスローガンで、適格な方針も立てる能力のないまま、無難な改革をしても、うまくいかないのです。実際、難しい。

 私は、大塚家具の内情はわかりませんが、父親が一代で築き上げた会社を、その苦労を知らない娘が追い出すようなことをして、従業員・取引先や顧客の信任を得られるのだろうかという印象はあります。

 この事例でもう一つ勉強になるのは、相続対策スキームも、慎重にしないと、国税から贈与税を課されて、とんでもないことになり、結局は、家族間の不和を拡大させることになります。また、相続対策で、自分の持ち株を、資産管理会社に譲渡したことで、父親は会社に対する支配権を失う危険があり、娘の翻意により、それが顕在化したことです。親子円満なときは問題ないですが、いったん不和になると、父親は、相続対策で自分が会社の支配権を失ってしまったことを、後悔することになります。

#相続対策、 #事業承継、#大塚家具